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リゾットやチャーハンに向いてい…

 リゾットやチャーハンに向いているというが、まずは普通に炊いてみた。岡山発祥の酒米「雄町」である。水加減を少なめにしてあまり吸水させず炊飯するのがこつだそうだ▼十分食べられるのだが、普段口にする食用米に比べると甘みや粘りが物足りない。ところが、これが日本酒になると実にふくよかなうま味をもたらす。オマチストと呼ばれる熱烈なファンがいるのもうなずける▼新型コロナウイルスの感染拡大で会食の機会が減った。日本酒の需要低迷は酒米にも及ぶ。JA全農おかやまによると、岡山県内の本年産雄町の作付けは前年より3割減ったという▼タンクや倉庫で酒米や商品を保管せざるを得ない蔵元も少なくない。ご飯として炊く雄町は、醸造用のストックを抱えた酒蔵が少しでも一般に消費してもらおうと食用に販売しているものだ▼雄町は「幻の酒米」と呼ばれた歴史を持つ。約160年前の江戸末期、岡山の篤農家が発見し、県内に普及した。昭和初期にはその酒が全国新酒品評会で高く評価されたが戦中、戦後は食糧増産のあおりや育てにくさから栽培面積が激減し、絶滅寸前に追い込まれた▼復活したのは、その品質に魅了された酒蔵や農家らの努力と情熱があってこそだ。雄町はその9割を岡山県産が占める。地域が守り続けてきた酒米を再び幻にはしたくない。

(2020年09月22日 08時00分 更新)

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