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敬老の日 交流が長寿社会輝かせる

 〈ばあさんの手づくりマスク息できず=82歳男性〉〈円満の秘訣(ひけつ)ソーシャルディスタンス=77歳男性〉。

 きょうは「敬老の日」。全国有料老人ホーム協会が、この日に向けて公募した「シルバー川柳」の入選作の一部である。

 新型コロナウイルス感染症が、依然として健康や生活に深刻な影響を及ぼしている。とりわけ高齢者は、重症化が心配されるだけに要注意だ。人と接する機会も減っている。そうしたコロナ禍の憂さを笑いに変えた川柳は、前向きな力を与えてくれる。

 日本人の4人に1人超が65歳以上の高齢者とされる。100歳以上は全国で8万450人と初めて8万人を超え、過去最多となった。調査を始めた1963年は153人だったというから、驚異的な増加ぶりだ。岡山県は1627人、広島県2392人、香川県は908人だった。

 肝心なのは、「人生100年時代」と言われる中で、老後をいかに心豊かに送ることができるかである。援護を必要とする人を社会が温かく支えていくのはもちろんだ。その一方で、仕事や趣味、ボランティア活動などを生きがいに意欲的に取り組んでいる高齢者は多い。

 長い人生の中で高齢者が培ってきた知識や経験は、貴重な“財産”でもある。さまざまな機会を通して積極的に地域社会や、若い世代に伝えてもらいたい。

 そうした交流の場づくりが各地で広がっている。国が進める「生涯活躍のまち」もその一つ。高齢者をはじめ女性や障害者、若者、子どもなど誰もが居場所と役割を持って活躍できる地域社会を目指すのが狙いだ。

 石川県輪島市では、人口流出で増えた空き家を拠点施設に整備。温泉施設やそば店なども設け、地元住民の居場所となっている。そば店では、市外から移り住んだ高齢者や障害がある人たちが働き、幅広く交流が図られている。

 岡山県奈義町では、高齢者や子育て中の女性らの「ちょっと働きたい」との思いと、町内の需要をつなぐ就労支援事業を展開している。廃業したガソリンスタンドを拠点施設に改修し、パソコンを使った資料作成や、裁縫などさまざまな仕事のマッチングが行われている。得意な知識や技術を町民に手ほどきする人もいるという。

 そこには働く生きがいとともに、世代間の距離を縮めて理解を深め合う喜びがある。芽生えた“新たな縁”は地域の足腰を強め、災害時の高齢者避難などにも生かされることが期待されよう。

 高齢者が生き生きと暮らすためには、人とのつながりが大切だ。コロナ禍でとかく人との接触を避け、孤独になりがちな状況を思えば、一層その重要性に気付かされる。

 高齢者が経験や能力を生かして長寿社会を輝かせる。そんな場を広げたい。

(2020年09月21日 08時00分 更新)

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