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スポーツ総合誌の「Number…

 スポーツ総合誌の「Number」が1980年の創刊以来、初の将棋特集を組んで話題になっている。主役は史上最年少の18歳で二冠となった藤井聡太王位・棋聖である。その人気はすさまじい▼興味深いのは怪物を生んだルーツを探る読み物だ。名古屋を拠点に戦前から将棋の普及、発展に孤軍奮闘した故・板谷四郎九段の人となりを紹介し、一門のタイトル獲得が積年の悲願だったことを伝える▼古武士の風格が漂う板谷九段は弟子から「大先生」と呼ばれて慕われた。名伯楽として知られ生涯に5人の棋士を育て上げた。藤井二冠は“曽孫”にあたる▼将棋界は今でも師弟関係を大切にしている。師匠は親代わり。誰の門下か、どこの出身かは重要な要素で、棋士たちは先人の思いや郷土の期待を胸に秘めて戦う▼板谷九段と同時代を生きた倉敷市出身の故・大山康晴15世名人も20代後半から弟子をとり、4人の棋士を世に送り出した。令和の今は岡山市在住の菅井竜也八段(28)がその遺志を継ぐ。これまでに2人の少年がプロの養成機関である奨励会に入り、今月さらに2人が合格した▼菅井八段は倉敷市の大山名人記念館の子ども教室で腕を磨いた日々が棋士を志す土台となった。その恩返しという思いが強いのだろう。弟子を預かる責任は重いが、その苦労が花開くときを期待したい。

(2020年09月21日 08時00分 更新)

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