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難しそうな条約も絵本ならば確か…

 難しそうな条約も絵本ならば確かに親しみやすい。各地の小中学校の図書館などで2万部以上が読まれている「えほん障害者権利条約」だ。英語版が刊行された▼平等を掲げた条約を日本が批准した翌年の2015年、視覚障害がある日本障害者協議会の藤井克徳代表が、友人で版画作家の里圭さんと出版した。条約を擬人化した「ボク」が意義を分かりやすく説く形で進む。きちんと守られたら、街の中の段差はすっかり消え、みんなの中にある心の壁もなくなっていく、と▼どれだけ実現しただろうか。先月末発行された2020年版の障害者白書が、条約を具体化した障害者差別解消法の施行後の取り組みを伝えている▼例えば、行政や関係団体、当事者らが情報を共有する地域協議会である。都道府県は全て設置しているが、市は65%、町村だと5割を切り、設けていても開催実績が乏しいところもあるという。さらに、新型コロナウイルスの感染防止では、障害者の生活に欠かせない社会福祉施設などのサービスをいかに続けるかという課題も浮上した▼冒頭の絵本は、障害者に明るさや笑顔が増えれば誰にとっても住みやすい社会になると説く。子どもも、高齢者も、そして疲れた人も▼障害者白書によると、障害があるのは国民の7・6%。当事者でなくても、無関心ではいられない。

(2020年09月11日 08時00分 更新)

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