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防災の日 感染防止も念頭に備えを

 きょうは「防災の日」。今年も豪雨による洪水や浸水などによって多くの犠牲者が出ている。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、自然災害の脅威からどう身を守るか、しっかりと考え、備えを固める契機にしたい。

 コロナ禍の今、特に心配なのは、有事の際に多くの被災者が身を寄せる避難所が感染の温床になり得ることだろう。ひとたび集団感染が起きれば地域の医療崩壊にもつながりかねず、避難のあり方の見直しが不可欠だ。

 国は今春、都道府県などに感染症対策を盛り込んだ避難所開設・運営の指針を示した。人と人の間をできるだけ2メートル空け、パーティション(間仕切り)で飛沫(ひまつ)を防いだり、発熱症状がある人専用のスペースを確保したりするよう求めている。

 だが、過密状態を避ければ収容できる人数は減る。ホテルや旅館と提携した避難所の増設や、知人宅、車中など身近で安全な場所を活用する「分散避難」の考え方も同時に進めなくてはならない。

 各自治体はこれを踏まえた対策を急いでいる。山陽新聞社が6月、岡山県内全27市町村を対象に行ったアンケートでは、ほとんどの自治体が避難所運営ガイドラインを作成・改訂したと分かった。一方、半数近くが人員不足などを理由に新たな避難所の確保は難しいと答え、パーティションなどの備蓄が「十分ある」との回答はゼロだった。

 避難場所が分散すれば、それだけ物資や人手の確保、情報伝達などに困難を来す。被災者の体調を把握しづらくなるとの指摘も出ている。

 それぞれの地域に応じた被害を想定して訓練を重ね、実効性を高められれば理想的だが、実際にはコロナ禍の影響で取り組みは遅れがちだ。住民側がこれまでより意識を高め、入念に準備しておくことが欠かせまい。大規模訓練を取りやめるかわりに、各家庭で防災会議を開くよう勧める自治体も多い。

 まず、日ごろから地域の災害リスクをよく知っておくべきだ。地震、津波、洪水、土砂災害など市町村が作成した各種ハザードマップをいま一度確認したい。指定の避難所以外の避難場所を考え、できればそこまで歩いて動線を確かめる。非常用持ち出し袋にマスク、体温計、自分用のせっけんや使い捨て手袋を追加することも必要だろう。

 コロナ禍の影響は復旧作業や医療者の派遣にも及ぶ恐れがある。九州を中心に各地で被害が出た今年7月の豪雨では、県境をまたいだボランティアを受け入れなかったため支援の手が足りなかったとの報告があった。

 避難と感染防止の両立という「新たな防災」は難しい面もあろう。ただ、災害時は命を守ることが何より大事であるのは言うまでもない。感染を恐れて避難をためらう人が出ないよう、隣近所をはじめ地域で呼び掛け合いたい。

(2020年09月01日 08時00分 更新)

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