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「寒風須恵器」を特産品に 瀬戸内の陶芸家ら 古代製法で創作

窯から作品を取り出す末廣さん(左)ら
窯から作品を取り出す末廣さん(左)ら
「寒風須恵器」を確認する寒風陶芸の里スタッフ
「寒風須恵器」を確認する寒風陶芸の里スタッフ
 瀬戸内市の陶芸家ら有志が、備前焼のルーツとされる須恵器の創作プロジェクトに取り組んでいる。地元にある国史跡・寒風古窯跡群(さぶかぜこようせきぐん)(同市牛窓町長浜)が7、8世紀に一大産地だったこともあり、当時の製法を再現。「寒風須恵器」のブランドで売り出し、地域の特産品に育て上げたい考えだ。

 須恵器は古墳~平安時代に作られた陶質の土器。同跡群は約130基の窯跡が確認されている中四国最大の産地・邑久古窯跡群(備前、瀬戸内市)の中核とされる。灰色が主流の須恵器にあって肌が白いつぼやかめのほか、古代のすずり「円面硯(えんめんけん)」、寺院の屋根を飾る「鴟尾(しび)」といった特殊な作品が出土し、高い技能の陶工集団がいたと推測されている。

 創作プロジェクトは、公益財団法人の寒風陶芸の里(同市牛窓町長浜)が2016~18年に取り組んだ須恵器づくりのノウハウや知見を継承。同法人スタッフと備前焼作家の末廣学さん(54)ら4人が昨年から、窯への酸素供給を制限する当時の焼成方法を再現して取り組んでいる。

 7月下旬には、末廣さんの窯で3度目の窯出しがあり、寒風古窯跡群周辺の土を使って制作した皿や花入れ、古代祭器の一種「平瓶(ひらが)」に似たとっくりなど約500点を取り出した。作品は市のふるさと納税の返礼品としているほか、寒風陶芸会館(同市牛窓町長浜)で販売する。財団は近く通信販売にも乗り出すという。

 末廣さんは、白地にエメラルドのような緑釉(りょくゆう)が掛かった出土品のつぼを引き合いに「どう焼いたのかと探究心がくすぐられる。先人が発見を積み重ねてきた焼き物の本質に迫り、次作へのステップにしたい」と語る。陶芸の里スタッフの三浦公子さん(47)は「地域資源を特産品に育て上げる取り組みとして成功させたい」と話している。

(2020年08月23日 19時22分 更新)

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