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注文次々「総社デニムマスク」 障害者就労の新たな柱に

障害者就労支援事業所が共同で製造販売している「総社デニムマスク」
障害者就労支援事業所が共同で製造販売している「総社デニムマスク」
マスクの仕上げ工程を担当する「がじゅまる」の利用者ら=総社市駅南
マスクの仕上げ工程を担当する「がじゅまる」の利用者ら=総社市駅南
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、総社市内の障害者就労支援事業所が共同で手掛けている「総社デニムマスク」が人気を集め、生産から発送まで賄う事業所は当初の7カ所から岡山県内26カ所にまで拡大している。新型コロナの影響で従来の仕事が減る事業所も多い中、新事業の需要増は障害者の収入アップにもつながっている。

 総社デニムマスクは、市がマスク不足の解消と障害者の賃金向上を狙いに、市内の就労継続支援A型、B型事業所に呼び掛けて、3月上旬に生産を始めた。県産デニムを使っているのが特徴で、取り組みが早かったことや福祉分野の支援につながることもあり、同中旬の発売直後から注文が殺到。しかし、7事業所でスタートした当初は1日に40枚程度しか生産できず、最大で数万単位の納品待ちが生じた。

 こうした状況を受け、他の事業所に声を掛け、縫製や仕上げのアイロン、袋詰め、配送などの工程に手分けして実施。今は市内13カ所を含む26事業所が中心となって携わっており、週1万枚を出荷できる体制を整えている。

 マスクも藍色のレギュラータイプをはじめ、内側に速乾性のある生地を用いた夏モデル、夏向けのベージュや水色、子ども用と品ぞろえを順次拡充。これまでの受注は21万枚を超えた。

 一方、新型コロナの影響を受け、障害者就労支援事業所を取り巻く環境は厳しい。企業の下請け受注が減少しているほか、物品販売もイベントの中止などで打撃を受けている。

 同市駅南の同B型事業所「がじゅまる」も、メインだったイベント向けの菓子やアクセサリー作りの受注が激減した。ただ、3月から始めたマスク生産と袋詰めの仕事が急増。3~6月の売り上げは昨年1年分に匹敵し、障害者の工賃は3倍になっているという。

 他の事業所も同様の傾向で、取り組みをけん引してきた市福祉課は「工賃アップに向けた障害者施策を考えてきた中で、大きな役割を果たしている」と手応えを語る。

 7月末からは市内に物流拠点を持つインターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京)が、マスクの取り扱いを開始。販売増に加え、各事業所から発送していた以前と比べて配送コストの大幅な圧縮が期待される。

 総社デニムマスク実行委員会の坪井直人委員長(同A型事業所・グリーンファーム代表理事)は「コロナ禍で従来の仕事が減る中、新しい事業ができ、障害者のモチベーションも維持されている。引き続き、心を込めて作っていく」と話す。

 マスクは1枚千円(送料込み)。総社市役所の販売窓口では同500円。

 就労継続支援A型、B型事業所 一般企業への就職が難しい障害者が、福祉的な支援を受けながら働く場。A型は障害者と雇用契約を結び、原則として収益から最低賃金以上を支払う。B型は雇用契約を結ばず、成果報酬の工賃を支払う。総社市内にはA型が6事業所、B型が11事業所ある。

(2020年08月21日 16時07分 更新)

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