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遺族不明の日章旗、妹に引き渡し 戦死の荻野さん遺品

兄の遺品の日章旗を感慨深く見つめる坪井さん(右)
兄の遺品の日章旗を感慨深く見つめる坪井さん(右)
 太平洋戦争で戦死した荻野正雄さん=倉敷市茶屋町=の遺品の日章旗が19日、岡山県遺族連盟から遺族に引き渡された。「遺族の行方が不明」と報じた本紙記事(15日付)を読み、妹の坪井英子さん(72)=岡山市南区=が名乗り出た。

 英子さんは荻野さんと2人きょうだい。自身が生まれる5年前の1943年に荻野さん(当時23歳)が出征したため面識はないが、「死んだ両親からは『親思いの優しい、頼りになる自慢の長男』と聞かされて育った」という。記事を見て「兄に間違いない」と同連盟に連絡した。

 この日、夫の良友さん(76)とともに同連盟が日章旗を保管・展示している岡山平和祈念館(岡山市中区奥市)を訪問し、引き渡しを受けた。英子さんは両親が眠る同市内の墓に持参して報告した後は、祈念館にあらためて展示してもらいたいと申し出て、承諾された。

 荻野さんは出征先のビルマ(現ミャンマー)で45年2月に亡くなったが遺骨は戻らず、両親は代わりに砂入りの木箱を受け取った。英子さんは「父も母も『どこかで生きているのでは』『ふらっと戻って来ないかな』とずっと兄の帰りを待ち望んでいた。それだけに喜んでいることでしょう。返還に尽力してもらった方々に心から感謝したい」と話した。

 祈念館の三宅禎浩館長(79)は「遺族が見つかって何より。日章旗は戦争の記憶を後世に伝える資料として大切に管理していく」としている。

(2020年08月19日 20時53分 更新)

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