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もみ殻から固形燃料製造の装置 尾道のメーカー 国内外で販路拡大

トロムソが開発したグラインドミル。投入したもみ殻が棒状の固形燃料になって出てくる
トロムソが開発したグラインドミル。投入したもみ殻が棒状の固形燃料になって出てくる
 稲のもみ殻から固形燃料を作る瀬戸内地域発の装置が、国内外で販路を広げている。エネルギー不足に悩むアフリカ諸国にも輸出。稲作の副産物を有効活用するため環境に優しく、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の推進にもつながるという。

 尾道市因島重井町のメーカー・トロムソが手掛ける「グラインドミル」。もみ殻をローターですりつぶし、300度の高温で熱しながら棒状の固形燃料に仕上げていく。価格は1台500万~600万円。1キロ当たりの発熱量はまきと同じ約4千キロカロリーで、「稲が二酸化炭素(CO2)を吸収するため、燃やしても新たなCO2を生まない。カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)な燃料」と上杉正章社長(44)。化石燃料が排出する大気汚染物質の硫黄や窒素酸化物も出さないという。

 もみ殻は田んぼにすき込んで肥料にするといった活用策もあるが、経営規模が大きいと処理しきれず、処理費用を払って廃棄するケースも少なくない。グラインドミルはそうした農家の声を耳にして企画。地元の造船や造船関連の企業を定年退職した技術者ら約10人が集まって2007年に会社設立し、機械内部に船のエンジンにも使うタングステンを吹き付けて強度を高めるなど地域産業の技術も生かして開発した。

 装置は08年の発売から国内の農業法人向けなどに120台を販売。13年に国際協力機構(JICA)とタンザニアで市場調査を行ったのを機にアフリカに進出し、これまでにマダガスカルやナイジェリアなどに20台以上を輸出している。人口増の続くアフリカではエネルギー需要が拡大。薪炭を得るための森林伐採が深刻化しており、昨夏に横浜であったアフリカ開発会議(TICAD)に出展した際は、各国の政府関係者が強い興味を示した。

 同社は、固形燃料から作った活性炭をフィルターに使う浄水器の製造も手掛けてベトナムから220台を受注するなど、装置の普及に向けた事業拡大に力を振り向けている。もみ殻は海外も含めて年間1億トンが発生するとされることから、上杉社長は「廃棄されていたものに新たな価値を加えられる装置が世界中に広がれば」と期待を込める。

(2020年08月18日 21時59分 更新)

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