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「戦績」残せず 進学や就職に暗雲 コロナ禍、県内高校生アスリート

インターハイ会場の一つだった静岡県袋井市のエコパスタジアム。陸上は8月12~16日に開催予定だったが、コロナ禍で中止された=4月
インターハイ会場の一つだった静岡県袋井市のエコパスタジアム。陸上は8月12~16日に開催予定だったが、コロナ禍で中止された=4月
 新型コロナウイルス感染症の影響で、スポーツ推薦で進学や就職を目指す岡山県内の高校生アスリートたちの進路が見通せなくなっている。本来なら10日から開催されるはずだった全国高校総体(インターハイ)が中止になるなど、大学や企業が選手の実力を判断する「戦績」を残せていないためだ。進路変更を余儀なくされる生徒もおり、難しい判断を迫られている。

 「働きながら好きな卓球をしたい。実業団でのプレーにずっと憧れていた」。県南部の高校卓球部男子選手(3年)は、日本リーグに所属する県外企業への就職に照準を合わせていた。ところがコロナ禍で経営に打撃を受けた企業側から「採用枠がなくなった」と伝えられた。人生の岐路に直面し、戸惑いを隠せない。

 スカウト

 春先から高校選抜大会やインターハイなど全国規模の大会だけでなく、地方レベルの競技会も軒並み取りやめとなり、高校生のアピールの場が消えた。関係者によると、「全国ベスト8」を推薦入試受験の一つのラインとする大学が多い。

 「インターハイの中止が決まった時はかなりショックだった。このまま引退かと諦めかけた」とバドミントンの強豪高校で主軸を担ってきた男子選手(3年)。大学側の配慮で、2年時の成績などを基に推薦入試を受けることになった。

 全国大会の会場は、大学や企業のスカウトの場になってきた側面もある。高校のある指導者は「多くの監督らが集まるので、選手の持ち味を説明したり、実際にプレーを見てもらったりしていた。その機会が失われ、人材が埋もれてしまう恐れがある」と懸念する。

 一方、就職から進学に切り替えることにしたのは、企業チーム入団への道が断たれた卓球の男子選手。力量を知ってもらうため県外の複数の大学に出向き、練習に参加している。「卓球はこの先もずっと続けたい。大学で4年間頑張り、それから実業団に入る」と新たな目標を定めた。

 オンライン

 有望選手を集めたい大学にとっても影響は大きい。

 中四国唯一の体育学部を持つ環太平洋大(岡山市)は、学生の半数以上の約1700人が体育系部活動に所属。スポーツ推薦で入学するケースが多いというが、今年は「かなり苦戦している」と女子ハンドボール部の坂元智子監督は話す。

 判断材料が乏しいため「昨年までの大会で目を付けてきた選手にアプローチしている」のが現状。西日本の選手を中心に勧誘しているが、受験の「確約」が取れたのは例年の半数ほどにとどまる。気力が低下し、大学で競技を続けることをやめた選手もいるという。

 オンラインに活路を見いだす大学もあるようだ。

 岡山東商高ボート部副主将の小西茉友選手(3年)は首都圏の大学の「リモート受験」に臨んだ。水上で練習する様子などの動画を大学に送り、関係者4人との面接はビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を利用。「大会がなくなって先行きが不安だった。形式は違うけれど希望の大学にチャレンジできて良かった」。秋には筆記試験を控え、勉強に前向きに取り組んでいる。

 坂元監督も選手獲得に最善を尽くす考えだ。「最終学年でぐんと伸びる選手もいる。そういう才能を見つけ出すことが、われわれに課されている」。高校生、受け入れ側の双方にとって、より良い結果を求めて模索を続ける。

(2020年08月10日 19時10分 更新)

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