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暗闇で飛ぶガは、食べようと狙う…

 暗闇で飛ぶガは、食べようと狙うコウモリから巧みに逃れる技がある。コウモリが出す超音波を感じると、羽ばたくのをやめ垂直落下し、捕捉範囲から外れる(稲垣栄洋著「弱者の戦略」)▼チョウがひらひらと不規則に飛ぶのも、外敵の鳥から逃れるためだ。鳥からすれば何とも捕らえにくい。生存のため、強者から上手に逃れる弱者の生きざまが興味深い▼豪雨や水害が多発し、安全な場所へ逃げる「避難」がますます重要な昨今である。内閣府は災害時に自治体が出す避難勧告を廃止し、避難指示に一本化する方針を打ち出したと、先日報じられた。勧告と指示の違いの分かりにくさを解消し、逃げ遅れを減らす狙いだ▼確かに、あやふやな人は多いようだ。昨年の台風19号被災地で暮らす約3千人への質問で、避難するタイミングを尋ねたところ、最多は「避難指示が出た段階」の40%だった。制度の趣旨通り、勧告段階で逃げるは26%にとどまった▼実際、その台風で水戸市は河川水位が夜間に上昇すると予測されたため、余裕を持って夕方に避難勧告を出した。だが住民の多くは逃げず、浸水した住宅に取り残された▼危険を素早く察知するため、馬は耳を180度自由に動かし、わずかな音も捉えるそうだ。荒ぶる自然に対して弱者である人間は、避難情報や警報に敏感でありたい。

(2020年08月08日 08時00分 更新)

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