山陽新聞デジタル|さんデジ

盆帰省 思い複雑―在京岡山出身者 「慎重」要請で二の足も

岡山県育英会東京寮の食堂。帰省を見送った学生たちの姿が見られた=東京都港区
岡山県育英会東京寮の食堂。帰省を見送った学生たちの姿が見られた=東京都港区
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない東京都で、故郷を離れて暮らす岡山県出身者が盆の帰省に二の足を踏んでいる。「もしも自分が感染していたら」「帰りたいけど自粛は仕方がない」―。それぞれ、複雑な思いを口にする。都内で確認される新規感染者は7日まで11日連続で200人超。慎重な行動を求める自治体トップらの発言もあり、もどかしい夏を過ごしている。

 「ゴールデンウイークは緊急事態宣言下で帰れなかった。盆こそは地元に戻り、夫婦そろって親戚へのあいさつ回りをしたかったが…」。岡山市に本社があり、都内の支店に勤務する男性(41)は言う。

 2月に結婚式を挙げたばかり。当初は妻とともに3月下旬か5月の連休に倉敷市の実家に帰るつもりだったが、首都圏の感染状況を踏まえて見送っていた。「妻とも『今は無理に帰省するべきではない』と話し合った。いつ帰れるのか、見通しが立たない」と不安をのぞかせる。

 倉敷市東京事務所に勤務し、単身赴任中の男性(42)も夏の帰省を見送る方向で検討している。地元では小学生の子どもや妻らが待つ。「家族に会いたい気持ちは強いが、東京から戻ることで迷惑を掛けるかもしれない」とおもんぱかる。

 帰省を巡っては、中国地方知事会が3日、十分検討するよう県民に求める共同メッセージを出した。6日には小池百合子東京都知事が控えるよう都民に要請している。

 県出身者が入る県育英会東京寮(港区)でも帰省を控える学生が目立ち、岡山市出身の東京大1年の男子学生(19)は「もしも自分が感染していたら、戻った先で家族に広げてしまうかもしれない」。倉敷市から今春上京した中央学院大1年の男子学生(18)は「大学はオンライン授業ばかりで新しい友人もできない。夏休みくらいは実家でゆっくりしたかったけど、仕方がない」と肩を落とす。

 一方、都内の大学に通う4年生の男性は県北の実家に7月下旬から戻っている。男性は「出歩くときは周囲の目が何となく気になってしまう」としながらも「帰省前の約2週間は大学とスーパー以外への外出を控えるなど対策を徹底した。感染リスクはないと自信を持っている」と話す。

同窓会中止や孫と会えず 地方に波紋

 盆の帰省を自粛する動きが、地方に波紋を広げている。岡山県内では同窓会が中止されたケースも。孫や子どもたちとの久しぶりの再会がかなわない人たちは残念がり、一刻も早い新型コロナウイルス感染の収束を願った。

 勝北中(津山市原)の1985年度卒業生の有志は、14日に津山市内のホテルで予定していた同窓会を中止した。「満50歳を迎える節目の年に開催できれば」と12年ぶりに集いを企画し、昨年末から準備。案内はがきや会員制交流サイト(SNS)で同級生を誘い、北海道、神奈川、福岡など県外居住者を含む約20人が参加するはずだった。

 ところが、新型コロナの感染拡大で参加予定者から不安視する声が上がり、やむなく会場をキャンセルした。幹事の一人で会社員の女性(49)=津山市=は「懐かしい仲間と語り合えるのを楽しみにしていた。感染状況も見通せず、しばらく同窓会が開けないと思うと本当にさみしい」と声を落とした。

 名古屋市で暮らす会社員の孫=20代=から盆は帰らない連絡があったという岡山市中区の男性(79)は「一緒に食事するのを楽しみにしていたので残念」。新見市、団体職員男性(58)は、夫の転勤で昨秋、さいたま市に引っ越した次女に帰省しないよう伝えている。「今年は帰省できないのはやむを得ない」と、ため息交じりに話した。

 千葉県に住む1歳の孫に会うのを心待ちにしていた岡山市北区の女性(67)は「週に1度のビデオ通話で顔は見ている。少しずつ話せるようになってきただけに、じかに会って成長を感じられないのはさみしい。正月こそは会いたい」と思いを募らせた。

(2020年08月07日 21時57分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ