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三井E&S 玉野で商船建造終了へ 従業員は提携先に転籍の可能性

三井E&S 玉野で商船建造終了へ 従業員は提携先に転籍の可能性
玉野艦船工場が建造した商船の進水式。受注残がなくなれば、提携先に生産を委託していくという
玉野艦船工場が建造した商船の進水式。受注残がなくなれば、提携先に生産を委託していくという
 経営再建中の三井E&Sホールディングス(HD、東京)は5日、2020~22年度の中期経営計画を発表し、造船子会社・三井E&S造船玉野艦船工場(玉野市玉)で手掛けるばら積み貨物船などの商船建造を終え、提携先に生産を委託する方針を明らかにした。玉野で造船に携わる従業員は提携先に転籍となる可能性がある。

 同日発表した第1四半期決算で、今年4~6月の商船受注がゼロに、受注残が5隻になったことを開示。同HDの岡良一社長=玉野市出身=は商船事業について「受注はかなり厳しく、工場を持たない方向で検討している。受注残は玉野で造るが、以降は協業先と決定していきたい。主に(協業先の)揚子江船業、常石造船への建造委託を考えている」と述べた。

 計画期間中、グループ従業員1万3千人を事業売却による他社への転籍などで2千人程度減らすことも表明。玉野の造船部門の約850人については一定人数がグループ外に転籍する方向ながら、今後の詳細は未定という。同HDは商船について「国内建造を希望する船主もおり、船価が改善すれば再び玉野で造る可能性はある」としている。

 造船・重機大手の同HDは、インドネシアの火力発電所建設工事で巨額損失を出し、昨年5月に経営再生計画を策定。中国や韓国勢との競合で営業赤字が続く造船部門では、商船に特化した千葉工場(千葉県)を来年3月で閉鎖することを決めた一方、中国大手・揚子江船業との合弁で商船建造の子会社を稼働させた。

 玉野の事業については来年10月をめどに、商船事業で常石造船(福山市沼隈町常石)と資本提携し、防衛省向け艦艇事業は三菱重工業(東京)に売却する計画を進めている。

 玉野に勤務する従業員は「まだ詳しい説明がなく、何とも言えない」。玉野市内の協力会社幹部は「今年に入って下請けの仕事が減っており、嫌な予感が当たってしまった。造船に携わる市民は多く、非常に心配。何とか地域の雇用を維持してほしい」と話した。

 玉野は三井E&Sグループ創業の地。艦船工場のほか、国内トップシェアの船舶用エンジンや産業機械を主力とする三井E&Sマシナリー玉野機械工場ががあり、協力会社を含め約4千人が勤務している。マシナリー社は業績が堅調で、中期経営計画では今後の中核領域と位置付けており、玉野の主力事業となる見通し。

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 同HDの2020年4~6月期連結決算は、純損益が84億円の赤字に転落した。前年同期は23億円の黒字だった。新型コロナウイルスの影響で、海洋油田の生産設備を手掛ける子会社の収支が悪化した。売上高は前年同期比0・4%増の1607億円。

(2020年08月05日 20時34分 更新)

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