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日本で映画館数が最多を数えたの…

 日本で映画館数が最多を数えたのは1960年。映画館の名簿である「映画便覧」には岡山県内に138館とある。新刊の「消えた映画館を探して」(吉備人出版)は掲載された館の現在を追っている▼著者は元岡山放送監査役の鷹取洋二さん(76)=赤磐市。鷹取さんにとって映画館は「さまざまな人生を追体験し、いろんな世界と時代の空気を知り、傷ついた心を癒やしてくれる場所」だった▼2年かけて「夢の館」を訪ね歩いたが、ほとんどは映画人気の衰退に伴って姿を消していた。往時を語れるのは70、80代の高齢者ぐらい。写真や資料もなかった▼岡山市屈指の映画館街だった千日前商店街も事情は同じである。ここでは今、新市民会館・岡山芸術創造劇場(仮称)の建設が進んでいる。だが軒を連ねた館の建物はすでになく、名残のつり看板もアーケードと共に撤去されたため「新施設には千日前の記憶の保存を」と声が上がった▼これを受けて新市民会館の開館準備室は5日、誰でも参加できる第1回「劇場をめぐる井戸端会議」を開く。新しい劇場のあり方について意見を交わし、千日前や表町商店街の歴史も勉強しようという試みだ▼その中から貴重な証言や資料が出てくるかもしれない。映画館を核に人々の喜怒哀楽が交錯した地域の歴史を、新施設にうまく引き継ぎたい。

(2020年08月03日 08時00分 更新)

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