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コロナ対策 国の対応は遅すぎないか

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。すでに東京、大阪にとどまらず全国で拡大が続く。一方、拡大防止策については自治体に丸投げされたままになっている。ここで踏ん張るためには、国としての対応策を早急に示さなければならない。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、地域の感染状況を、感染者が散発的に見つかる「レベル0」、漸増し医療供給体制への負荷が蓄積する「レベル1」、感染者が急増し医療にも大きな影響が出る「レベル2」、爆発的に感染が拡大して医療現場が機能不全に陥る「レベル3」の4段階に分類した。

 現在の東京、大阪などの状況はレベル1に当たり、次のレベルにならないよう対策強化を求めた。一方、それぞれのレベルについて判断する指標や対策の中身の議論は先送りされた。これでは、自治体の独自判断に基づいて進めている現状と変わるまい。

 判断の指標としては、重症患者数、重症化しやすい60歳以上の患者数、患者受け入れが可能な空き病床数、感染経路が不明な患者数、検査の陽性率などが候補としてあげられていた。

 政府内には、具体的な数値を示すと、政治的な判断の余地がなくなり、社会経済活動を制約しかねないと懸念する意見もあるという。しかし、対策の先頭に立つ地方に、指標も示さず押しつけたのでは、判断の時期や内容を誤りかねない。経済活動を維持し続けるためにも、指標や対策を示してもらいたい。

 岡山県の感染者数は7月の1カ月間で3倍以上に増えている。県はさらなる拡大を防ぐために、今月1カ月間の対応を示した。主な内容は、クラスター(感染者集団)が発生したキャバクラ、ホストクラブなど接待を伴う飲食店の利用自粛を求める。感染した場合に重症化しやすい高齢者は人混みを避けて行動し、スーパーなどは混雑しない時間に利用する。店舗側に高齢者優先時間帯を設けることも盛り込んだ。

 東京都はバーやカラオケ店などに営業時間の短縮を要請。大阪府も中心部の歓楽街に限定して休業や営業時間の短縮を求める。同様に対応する県も出てきており、いずれも事業者に協力金を払う方針だ。岐阜県は「非常事態」を、沖縄県は「緊急事態」を独自に宣言した。国の対応を待ち切れない地方が独自判断で動きだしている。積極的な地方の動きは評価したい。

 ただ、いずれも要請が中心で強制力はない。感染拡大にいら立つ地方の悲鳴とも言えよう。早期に収束させたいと願う地方の思いを国はくみ取らねばならない。感染拡大を防止するための新たな法整備の検討や、強引にスタートした観光支援事業「Go To トラベル」の検証も含め、国会を開いて議論してもらいたい。安倍晋三首相がリーダーシップを発揮する時だ。

(2020年08月02日 08時00分 更新)

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