山陽新聞デジタル|さんデジ

夫婦の会話らしい。「きょうはオ…

 夫婦の会話らしい。「きょうはオリンピックでも見に行くとするかな」「あら、うちの立体カラーテレビで見物すれば、同じことじゃないの」「いや、たまには大勢の人といっしょに、にぎやかに見るのも面白いと思うよ」▼前の東京五輪の年に発表された星新一さんのショートショート「オリンピック二〇六四」である。タイトル通り、その100年後の五輪の様子が想像力を存分に働かせて描かれている。実際にテレビが進化した現代でも、生で観戦したい人は多かった▼販売サイトがなかなかつながらなかったチケットの抽選申し込みはわずか1年数カ月前のことだ。だが、随分と以前だったように感じる▼東京五輪は新型コロナウイルス感染拡大による延期前とほぼ同じ日程で開かれることが先月発表された。しかし、世論調査で再延期と中止を望む声は合わせて7割に達し、盛り上がりは乏しい▼星さんの作品では、ロケットなど交通機関の発達で海外の開催地にもすぐ行ける。しかも、五輪は毎年開かれていた。それが現実なら、もう1年延ばすことも容易かもしれないが、実際には課題が多いという▼発表された日程では、来年のきょうは競泳の最終日。柔道は前日に終わり、日本選手のメダルラッシュで沸いているころだろうか。星さんのような想像力が乏しい身には思い描けない。

(2020年08月01日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ