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素粒子で造山古墳を“透視” 岡山大 清家教授ら検出装置を開発 

ミューオンを使い、埋葬施設など墳丘内部の調査が行われる造山古墳(南東上空から)=2019年11月撮影
ミューオンを使い、埋葬施設など墳丘内部の調査が行われる造山古墳(南東上空から)=2019年11月撮影
素粒子で造山古墳を“透視” 岡山大 清家教授ら検出装置を開発 
 岡山大の清家章教授(考古学)らの研究チームは、全国4位の大きさを誇る前方後円墳・造山古墳(岡山市北区新庄下、国史跡)の内部構造を、物質を透過する素粒子・ミューオンを用いて“透視”する調査に乗り出す。古墳探査向けのミューオン検出装置を新たに開発して、早ければ2020年度中にも埋葬施設の可能性がある空洞の存在やその位置、規模などを調べる。

 古代吉備の王の実像に迫る成果が期待されるだけでなく、装置や調査手法の有用性が実証できれば、宮内庁が管理する陵墓など、発掘の難しい他の大型古墳の非破壊調査への弾みがつき、考古学関係者の注目を集めそうだ。

 ミューオンを活用した富士山の内部構造探査を手掛ける山梨大や、高エネルギー加速器研究機構(茨城県)などと共同で取り組む。古墳探査に適したミューオンの検出装置を山梨大が開発し、清家教授らが造山古墳の墳丘や周辺などに設置して計測する。5カ年計画で国の科学研究費補助金を活用する。

 ミューオンは宇宙線から生じる素粒子で、1分間に手のひらに一つ程度の割合で常に地球に降り注いでおり、高い貫通性を持つ。古墳を通過する際、空洞や副葬品など周囲と密度が異なる場所や物があれば、その先の検出器に到達する量が変化し、その差を画像化することで墳丘内部を映し出す。磁気探査、地中レーダー探査といった従来の内部調査手法に比べ、より高い精度が期待できる。

 ミューオンを使った古墳調査は、奈良県立橿原考古学研究所が同県斑鳩町の春日古墳で16~18年度に行い、石室の可能性がある空洞を確認。今年1月からは卑弥呼の墓説もある箸墓古墳(同県桜井市)で実施している。清家教授らも基本的な手法は同じだが、新たに開発する装置はミューオンの検出状況をリアルタイムで確認でき、観測に最適な設置場所の選定が容易になるという。

 研究チームは、将来的には造山古墳のほか作山古墳(総社市)、両宮山古墳(赤磐市)のどちらかでも調査を行う考え。清家教授は「石室の位置や規模などが判明すれば、被葬者の具体像に迫ることになり、古墳時代研究においても大きな意味を持つ。考古学の可能性を広げる非破壊調査手法を確立したい」としている。

 造山古墳 5世紀前半の築造で、墳長約350メートルは陵墓を除けば全国最大。作山、両宮山古墳とともに吉備の3大巨墳といわれる。千足古墳など6基の陪塚(ばいちょう)を持つ。古墳の保存管理に向け、岡山市教委が2016年度から墳丘の正確な範囲、形状の把握のため発掘調査を進めている。

 

(2020年07月14日 23時05分 更新)

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