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骨太方針案 一極集中の是正をさらに

 政府の経済財政運営と改革の基本方針「骨太方針」案がまとまった。2021年度予算編成の指針となる。新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済再生の両立を目指すことに加え、東京一極集中の是正にも力を入れている。

 ウイルス感染者の3分の1以上が東京に集中し、7月に入ってからも多くの感染者が見つかっている。過密な東京の現状が、対策を難しくしているのは間違いなかろう。

 内閣府が実施した意識調査では、感染拡大を受けて、東京23区に住む20代の35%以上が地方移住に「関心が高まった」と回答した。満員電車や長時間通勤による感染リスクへの懸念が広がっている。直下型地震といった自然災害も想定される。長年の懸案だった一極集中是正に弾みをつける好機ととらえたい。

 骨太方針では、コロナ禍で取り組みが進んだテレワークをさらに広げることを前提に、都市部と地方をまたいだ「2地域居住・就労」の推進を掲げる。対応できる企業は限られそうだが、現在の仕事を継続しながら、最適な居住環境を求める人にとっては、選択肢が広がろう。

 若者が地域で働く場の創出も課題にあげる。街全体をITでつなぐ「スマートシティー」を政令市・中核市を中心に全国100カ所程度整備して、若い世代に魅力的な拠点を設ける。国公立大学を中心に、科学、技術、アートなどに強い人材を育成し、既存のものづくり企業と人工知能(AI)を組み合わせて産業基盤の強化を図る。地方発ベンチャー企業の取り組みを促すことなども盛り込んだ。

 一方、東京への集中を、規制によって抑制しないことも明言している。魅力的な拠点づくりや人材育成には時間がかかる。政府が音頭を取るだけで進むものでもあるまい。企業の東京集中を抑えるには税制などにも踏み込んだ措置を求めたい。

 新型コロナウイルス対策では、医療提供体制と検査体制を充実させ、治療薬やワクチンの開発を加速させる。生産性の向上と自律的な消費拡大が見通せるまで、需要を下支えするとした。感染予防と経済再生の両立への決意は示したと言えよう。

 この1年をデジタル化への集中改革期間にすることも掲げた。国民への10万円給付に時間がかかったことなどを受けて、マイナンバー制度は銀行口座とひも付けて使いやすくする。行政手続きのオンライン化も進める。

 コロナ禍は、日本社会の欠点をあぶり出した。克服に向け、遅れているデジタル技術の活用を柱に据えるのは理解できる。ただ、今年も九州を中心に豪雨被害が発生した。激甚化する自然災害への対応は、昨年と全く同じ記述もあり、中期的に継続することや拡充についての言及はなかった。災害対応は一極集中是正にもつながる。おろそかにしてはなるまい。

(2020年07月12日 07時45分 更新)

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