山陽新聞デジタル|さんデジ

和洋融合の「江川式建築」紹介 真庭で顕彰展 旧遷喬尋常小を設計

里帰りした模型が並ぶ旧遷喬尋常小。展示台は江川が好んだ「トラス構造」をイメージし、リクシルが製作した
里帰りした模型が並ぶ旧遷喬尋常小。展示台は江川が好んだ「トラス構造」をイメージし、リクシルが製作した
久世エスパスセンターには現存建物の紹介パネルが並ぶ
久世エスパスセンターには現存建物の紹介パネルが並ぶ
 真庭市鍋屋の国重要文化財・旧遷喬尋常小を設計した県技師江川三郎八(1860~1939年)の顕彰展が、同尋常小一帯で開かれている。市教委などが関連資料を貸し出し、大阪と東京にあるLIXIL(リクシル)ギャラリーで企画された展覧会の“里帰り展”。リクシル側が作製した展示用具をフル活用し、和洋が融合した「江川式建築」の魅力を伝えている。

 同尋常小1階では、いずれも八角園舎で知られる旧旭東幼稚園園舎(岡山市)と倉敷幼稚園園舎(倉敷市)の30分の1模型を展示。旧旭東幼より後に建った倉敷幼の八角園舎は広く使えるよう心柱が省かれ、進化の過程が分かる。同尋常小に備え付けられていた五輪塔をモチーフにした屋根飾りも個性が光る。

 隣の久世エスパスセンターでは、福島、岡山両県に現存する旧学校や警察署、神社など約10施設の外観や内部を写真パネルで紹介。「講堂の広々とした空間は屋根裏の木造トラス『江川式小屋組』が支えている」といった構造の特徴や見どころを建物ごとに解説している。

 江川が好んだトラス構造を模した展示台や、八角形の配置が八角園舎を思わせるついたて、パネル類はリクシル側の特製。会場をレトロな雰囲気に包む。

 巡回展は大阪で昨年12月から今年2月に開催されたが、4月から予定していた東京での展示は新型コロナウイルスで中止になった。市スポーツ・文化振興課は「真庭にもゆかりが深い建築家の功績を本物の建物と合わせて広く知ってもらえれば」と呼び掛けている。

 9月29日まで。無料。水曜休館。問い合わせは真庭エスパス振興財団(0867―42―7000)。

 江川三郎八 会津藩士の家に生まれ、宮大工の技術を習得。福島県技師として洋風建築の設計を学んだ。1902年に岡山へ転任、官公庁をはじめ病院、デパートなど幅広く手掛けた。西洋建築の構造と和洋が融合した外観が特徴で、多くが国重文や登録有形文化財に指定されている。

(2020年07月12日 11時43分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ