山陽新聞デジタル|さんデジ

河井夫妻起訴 いつまで議員続けるのか

 昨年7月の参院選広島選挙区を巡る買収事件で、東京地検特捜部が公選法違反(買収)の罪で、前法相の衆院議員河井克行容疑者と妻の参院議員案里容疑者を起訴した。地元県議や市議ら100人に対し、計2900万円余を配ったとされる。

 現職の国会議員夫妻が起訴されるという前代未聞の事態である。買収が事実なら民主主義の土台である選挙の公正性を大きくゆがめる行為であり、断じて許されない。

 夫妻は違法性を否定しているが、昨秋に運動員買収の疑惑が報じられて以降、説明責任を果たさず、国会議員の活動も十分できていない。有罪が確定すれば失職するが、政治への信頼を著しく損なっている事態を自覚し、そろって議員辞職すべきだ。東京地検は裁判を通じて事件の真相と夫妻の刑事責任を明らかにしてもらいたい。

 関係者によると、克行前法相らは支持拡大のための日常的な政治活動の一環だったとし、買収の趣旨はなかったと全面否認している。昨年4月にあった統一地方選の「当選祝い」や「陣中見舞い」だったとも説明している。

 だが、参院選前月の昨年6月の配布額が800万円余と多いことや、統一地方選に無関係の議員にも現金を提供していることなどが判明している。克行前法相は現金の配布先リストをパソコンから消去し証拠隠滅を図った疑いもある。現金の配布は買収目的であり、違法性の認識があったのは明らかではないか。

 自民党本部から夫妻側に提供された計1億5千万円に上る資金の使途も注目される。改選2議席の独占を狙い、党本部が主導して案里議員を擁立し、落選した自民現職陣営の10倍もの資金を提供した。

 巨額の資金が買収につながった可能性がある。使途を巡っては、自民党の二階俊博幹事長は当初「党内の基準と手続きを踏んで支給した」と正当性を主張し「買収資金に使うことができないのは当然だ」とした。ところがその後「(夫妻が受け取った)その先どうなったかは承知していない」と説明を後退させた。

 自民党は、野党からの公開質問状に対しても「政治資金は法令に従い適正に処理している」と答え、詳細な説明は避けた。1億5千万円の原資は政党助成金や党費などとされる。自民党が調査し、納税者や党員に説明責任を果たさねばならない。

 特捜部と広島地検は、現金を受け取った地元議員らの刑事処分を見送った。一方的に渡されたり、既に返金したりしているといった状況を考慮したとみられる。

 とはいえ、公選法では買収目的と知りながら現金を受け取る行為も被買収として禁じられている。返金したとしても現金を受け取った責任は重い。有権者に対し、説明を尽くすのは当然であり、各人の姿勢が厳しく問われていることを自覚すべきだ。

(2020年07月10日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ