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危険ため池廃止が難航、広島県 所有者や管理者不明 同意手間取る

広島県庁
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 西日本豪雨(2018年7月)で決壊が相次いだ農業用ため池対策の一環として、広島県が進める廃止作業が難航している。年100カ所程度を目標に、危険性が高い箇所を集中的に手掛けているが、19年度の工事発注は目標の3割弱の27件。土地所有者や管理者が分からないケースが多く、同意を得るのに手間取っている。

 県は利用されていない5千カ所の廃止を計画し、このうち下流に民家や公共施設があり、決壊による危険性が大きい約500カ所を優先。水を抜いた上で堤防を掘削し、貯水機能をなくす工事を施す方針で、19~21年度の集中対策期間に約300カ所の着手を目指す。残る4500カ所は人的被害の恐れが低いとし、池の水を抜く簡易的措置を取る。

 しかし、廃止には高いハードルが待ち受ける。土地所有者など関係者の同意が前提となるが、多くのため池は江戸期以前に造られており、農家の代替わりや離農などでなかなか特定できない。工事用の仮設道路建設に向けて、田畑や山林などの所有者との調整に時間がかかることも少なくないという。

 県内には全国で2番目に多い1万8938カ所のため池があり、西日本豪雨では48カ所が決壊。福山市では家ごと流された3歳女児が亡くなっている。被災から2年を迎え、池田浩之ため池・農地防災担当課長は「工事を前に進めるには関係者の割り出しを急ぐ必要がある」と話す。

 民有ため池の所有者に義務付けられている都道府県への届け出件数は3月末現在、全体の約6割の1万704件。県は、市町と連携して利用や管理の状況を調査し、実態把握に努める。

 20年度は関係者との調整が済んだ62カ所のため池で廃止工事に着手する方針。池田課長は「県民の安全を確保するため、着実に対策を進めていきたい」と力を込めた。

(2020年07月07日 19時49分 更新)

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