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コロナ禍の被災地(上)仮設入居延長 自宅再建 崩れた計画

真備総仮設団地で暮らす藤崎義之さん。新型コロナの影響で自宅の再建が遅れ、思い悩む=6月24日
真備総仮設団地で暮らす藤崎義之さん。新型コロナの影響で自宅の再建が遅れ、思い悩む=6月24日
 「いつ、ここを出られるのか。見通しが立たず、つい、いら立ってしまうことがある」

 西日本豪雨で被災した人たちが身を寄せる倉敷市真備町箭田の建設型仮設住宅「真備総仮設団地」の一室で、藤崎義之さん(84)はため息をつく。

 今年1月、妻の美津子さん(75)と、退去後に元の場所に戻ることを決めた。その直後、新型コロナウイルスの感染拡大のあおりを受け、入居期限の9月までに同町箭田の自宅跡に平屋を新築する計画は崩れてしまった。やむなく、仮設住宅を設置する県に1年間の入居延長を申請している。

相談会中止

 2018年7月の豪雨で自宅が全壊した藤崎さん夫妻は、住まいの再建で葛藤した。東京にいる娘から同居を持ち掛けられ、離郷も考えた。それでも最後は「住み慣れた真備を離れたくない」という美津子さんの強い思いから残ることにした。

 ようやく一歩を踏み出したものの、業者の当てがない。知り合いからは再建費が思った以上にかかった話を聞いていた。その不安もあって、市などが被災者向けに開く建築相談会を通じて信頼できる業者を探そうとした。

 今年1、2月の相談会は義之さんの体調不良で参加できず、「次こそは」と思った4月はコロナの影響で中止になった。ようやく6月の相談会に出席でき、2社を紹介された。

 しかし、業者からは「コロナの影響で資材が入らず、完成がいつになるか分からない」と伝えられた。その後の話し合いも、思うようには進んでいないという。

歯がゆさ

 夫妻には豪雨後、アクシデントがあった。

 美津子さんは避難していた小学校で脳梗塞を患い、左半身にまひが残った。いまも車いすやつえがなければ移動できず、わずかな段差でもつまずく。

 義之さんは自宅の片付けの無理がたたったのか、仮設入居後に腰椎を2度も圧迫骨折して入院した。痛みをこらえながら、容体の重い妻の介護や慣れない家事をこなしている。

 再建予定の自宅はバリアフリーにして、暮らしやすくする予定だ。そんな希望を抱く夫妻に、コロナ禍がのしかかる。

 「いまの暮らしがまだ続くのかと思うと、不安に押しつぶされそうになる。一日も早く安心して住める場所に落ち着きたいのだが…」。自宅の再建が遅れている義之さんは、80戸がほぼ満室から入居者が半減した団地で、取り残された寂しさと歯がゆさを感じている。

     ◇

 倉敷市真備町地区に甚大な被害をもたらした西日本豪雨から6日で2年。復興に向けて歩む被災地に、新型コロナウイルスの影響が影を落としている。被災者をはじめ、支援に当たるボランティアらの苦悩や現状をリポートする。

 仮設住宅の入居期限 災害救助法で入居から原則、2年間と決まっている。県は国との協議を踏まえ、工期の関係で自宅の再建が間に合わない▽整備予定の災害公営住宅の入居希望者▽健康悪化で1階やエレベーター付きの民間賃貸を探しているが見つからない―といった8項目の要件に該当する世帯は1年の延長を認めている。

 県被災者生活支援室によると6月末時点で、県内の仮設住宅で暮らすのは1281世帯で、今春以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で入居期限の延長を申請するケースが目立つという。退去予定の被災者が外出自粛で住宅メーカーなどと協議できなかったり、物流の遅れで工期が延びたりすることが主な理由になっている。

「西日本豪雨2年」特集サイトはこちら

(2020年07月03日 09時07分 更新)

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