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今から95年前、米・テネシー州…

 今から95年前、米・テネシー州の公立高校で起きた騒動である。生物の授業で、生物学者のダーウィンが提唱した「進化論」を教えた教師が逮捕された▼当時の州法は、すべての生物は神が創造したとする聖書の教えに背く教育を禁じていた。教師は100ドルの罰金刑となり、米国ではその後も、生物の進化にまつわる科学と宗教の論争が繰り返されてきた▼その進化論の解釈が今、日本の政治の場でも物議を醸している。自民党が、憲法改正をアピールしようと先月、ホームページに掲載した4こま漫画が原因だ▼漫画は、進化論を根拠に、唯一生き延びることができるのは、最も強い者でも賢い者でもなく「変化できる者である」と解説する。最後は、日本を発展させるために改憲が必要だと結論付けた▼そもそも進化論が説いたのは、生物には突然の変異が起きることがあり、ランダムに起きるさまざまな変化の結果、有利な性質を持った者が結果として生き残るという趣旨である。野党は、漫画は曲解だと批判し、研究者でつくる学会も異を唱える声明を出した▼改憲を党是とする自民党だが、その道筋が見えない中での勇み足か。改憲の是非はしっかりと論じ合ってもらうとして、まず進化すべきは不祥事が絶えぬ政治そのものではないのか。そんな有権者のため息が聞こえてきそうだ。

(2020年07月02日 08時00分 更新)

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