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【記者が行く】ヘルプマーク、周知進んでいないのでは? 目に触れる機会を増やす必要

投稿者の男性がかばんに取り付けたヘルプマーク。県民に広く知ってもらうことが課題だ
投稿者の男性がかばんに取り付けたヘルプマーク。県民に広く知ってもらうことが課題だ
 発達障害があり、配慮が必要なことを伝える「ヘルプマーク」をかばんに取り付けて出掛けています。以前に電車内で困った時、周囲の人に気を配ってもらえなかったことがあり、その要因はマークの認知度不足にあるのではと感じました。もっと周知できないものでしょうか。<岡山市、男性(41)>

 ヘルプマークは、赤い樹脂板(縦8・5センチ、横5・3センチ)に白い十字とハートマークが描かれ、裏面に頼みたい支援の内容や障害の種別などを記したシールを貼れる。外見では分かりづらい障害や病気のある人、妊婦らが配慮の必要性を伝えるのに有効だとして2012年に東京都が考案。全国の自治体で導入が進み、17年には日本工業規格(JIS)に採用された。

 投稿者の男性は、子どもの頃からコミュニケーションが苦手で人間関係をうまく築けなかったが、障害の自覚はなく、転職も3度経験した。11年に「アスペルガー症候群」と診断されてから今の職場に自身の障害を伝え、周囲の理解を得ながら仕事を続けている。

 配慮が必要なことを知ってもらう大切さを実感した男性は、3年ほど前からヘルプマークをかばんに取り付けるようになった。だが、通勤電車で気分が悪くなり座り込んでしまった際、誰も声を掛けてくれず、強い不安を感じたという。

 マークは県内でどの程度普及しているのか。県障害福祉課に聞くと「認知度を示すデータはないが、最近まで知らなかったという障害のある方もいたので、浸透しているとは言い難い」と周知不足を認める。

 マークの配布は県内では17年の浅口市を皮切りに今年3月の倉敷市をもって全27市町村で行われるようになった。障害者福祉の担当課に置いているケースが多く、関係者以外が目にする機会は少ない。

 県では毎年度PRちらしを3千枚作り、障害者週間(12月3~9日)にJR岡山駅などで配ったり、コンビニといった店舗に置いてもらったりしている。

 ただ、こうした取り組みも期間が限られ、実際に記者が岡山市内のコンビニ3店舗を訪ねても、ちらしは見当たらなかった。そのうち1店の男性店員は「雑誌コーナーの横に置いたことはあるが、1カ月程度で別の新しい広告のちらしと置き換えた」と言う。

 マークを考案した東京都では地下鉄の駅や列車内にポスターを常時掲示し、地下鉄の電子広告でPR動画を繰り返し流すなどしてきた。その結果、都民アンケートで「(マークの)意味も含めて知っている」と答えた人の割合は14年の24・2%から19年は60・8%に上がったという。

 息子に発達障害があり、講演活動などを通じてマークの普及を図っている宮口治子さん(44)=福山市=は「バスやタクシーといった公共交通機関にマークのステッカーを貼るなど目に触れる機会を増やしていく必要がある」と指摘する。

 岡山県は本年度、県民アンケートでマークの認知度を調べており、その結果を踏まえて「新たな普及策を考えていきたい」(県障害福祉課)としている。

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(2020年06月25日 05時00分 更新)

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