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「雄町」食べて農家と酒蔵応援を 岡山の酒造3社、酒米を食用販売

「酒米・雄町を食べて応援して」と呼び掛ける室町酒造の花房社長
「酒米・雄町を食べて応援して」と呼び掛ける室町酒造の花房社長
辻本店が食用として商品化した雄町
辻本店が食用として商品化した雄町
 新型コロナウイルスの影響で日本酒の消費量が落ち込む中、岡山県内の酒造メーカー3社が、日本酒の原料となる県発祥の酒米・雄町を食用として販売する取り組みを始めた。今年は酒米の作付けを減らす動きもあり、各社は「雄町を食べて農家と酒蔵を応援してほしい」と呼び掛けている。

 新型コロナによる飲食店の営業自粛などで日本酒の需要は大きく減少し、酒蔵は急きょ製造量を減らすなどの対応に追われた。次の仕込みでも減産する蔵が多く、農家と交わす20年産酒米の購入契約はキャンセルが相次いでいるという。

 室町酒造(赤磐市西中)は「雄町米を食べて応援」プロジェクトと銘打ち、5日から県内の山陽マルナカ35店舗で雄町の販売を始めた。

 「米作りをやめる農家が出てくるかもしれない。全国に誇る岡山の酒米・雄町を守っていかなければ」と花房満社長。同社も例年の4倍ほどの酒米在庫を抱えながら、農家を応援しようと、新たに岡山市東区瀬戸地区産の雄町750キロをJA全農おかやまから購入。1キロずつ袋に詰め、734円で売り出している。

 花房社長によると、雄町はすし店でシャリに使われることもあるといい、「酒米の中でもうま味が強い。ぜひ味わってみてほしい」と話す。

 辻本店(真庭市勝山)も、来期の仕込みに使う予定だった同地区産の雄町約600キロを食用として商品化した。粒がそろった1等米を用意し、同社のオンラインショップや特約店で、750グラム1080円で販売中。水分を吸収しやすい雄町は味がよく染み込むため、リゾットなどお薦めの調理法もホームページで紹介している。

 辻総一郎社長は「主食用米に転作すると土壌が変わるなどして、再度雄町を作るのが難しくなる。できるだけ作付けを維持できるよう、厳しい現状を伝えて協力してもらいたい」と強調する。

 消費拡大を全国に呼び掛けようと、インターネットによるクラウドファンディングを計画しているのは利守酒造(赤磐市西軽部)。赤磐市産の雄町と雄町で造った日本酒をセットにしたり、岡山市のホテルと共同開発した雄町のリゾットを用意したりと、準備を進めている。6月下旬から受け付ける予定。

 利守弘充専務は「逆境だが、雄町を全国にPRする機会と捉え、酒どころとしての岡山の認知度を高めたい」としている。

 雄町 大粒で、中心部分にあるでんぷん質の塊・心白が大きく、酒造りに適した米。岡山県は国内生産量の9割を占める一大産地で、全国の酒蔵で使われている。主食用米より水分を多く吸収するため、水の量を少なめにして炊くとよいという。

(2020年06月11日 15時36分 更新)

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