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難病でも…諦めない心絵に込め 瀬戸内の赤木浩司さんが初個展

英国への家族旅行の思い出を再現した「バッキンガム宮殿衛兵交代と犬」
英国への家族旅行の思い出を再現した「バッキンガム宮殿衛兵交代と犬」
記号を並べて描いた赤木さんのパソコン細密画が並ぶ会場
記号を並べて描いた赤木さんのパソコン細密画が並ぶ会場
赤木浩司さん
赤木浩司さん
 全身の筋肉が動かなくなる難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う赤木浩司さん(58)=瀬戸内市=が、わずかに動く顔にセンサーをつけて描いた“パソコン細密画”を、岡山市北区幸町の岡山・吉兆庵美術館で初披露している。14日まで。

 整然と並んだカラフルな◇や□といった記号。少し距離を置いて見ると、黒い長帽子に赤い制服の衛兵の隊列が浮かび上がった。かつて家族で訪れた英国を表したシリーズという。別の1点、ほほ笑む女性像は闘病を支える看護師の似顔絵だ。会場に並ぶ約60点には、大切な思い出、身近な人への感謝が込められている。

 菓子製造販売の源吉兆庵グループ(岡山市)に勤めていた赤木さんが、ALSを発症したのは2015年。少年サッカーチームの指導をするスポーツマンだったが、徐々に歩行や会話が困難になり、17年に退社。「全てを一度は諦めかけた」とするが、自宅療養を支えてくれる人々と触れ合ううち「拾われた命、なかなか経験できない、だったら楽しもう」と思い直した。

 もともと油絵を趣味にしていた赤木さん。障害者用の意思伝達ソフトを活用し、ほおやあごの筋肉を動かしてパソコンに記号や文字を入力し描き始めた。記号を細かく使い分け、密度や色の濃淡で立体感まで表す作品は、1点仕上げるのに1カ月かかることもある。

 病気や障害への理解を深めてもらおうと企画した初個展は、元職場の仲間が手伝ってくれた。現在は顔も動かなくなり、表現の方法を模索中という赤木さんは「諦めない心を伝えたくて、私にできる絵を描いています」と会場にメッセージを寄せている。

 入館無料。問い合わせは同美術館(086―364―1005)。

(2020年06月04日 22時32分 更新)

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