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改正動物愛護法 虐待許さぬ体制整えたい

 犬、猫などの遺棄や虐待を防ぐことを目的とした改正動物愛護法が1日、施行された。飼い主や自治体の責任をより明確にした改正によって、捨てられたり、命を失ったりする動物が少しでも減ることを期待したい。

 「人と動物の共生」をうたう動物愛護法は、野生動物以外のペット、動物園の展示動物や畜産動物、実験動物などを対象とする。さまざまな形で動物の不適切な取り扱いが増えていることから昨年、大規模な改正が行われ、3段階に分けて施行される。

 このたびの柱は殺傷や虐待の厳罰化である。全国の警察が昨年、動物愛護法違反容疑で摘発した動物虐待は105件で、統計のある2010年以降最多だった。インターネットで虐待動画を配信する行為や、無秩序な飼い方でペットが大量に繁殖し、世話に行き詰まる「多頭飼育崩壊」が社会問題となっている。

 改正法では、動物をみだりに殺傷した場合は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から、懲役刑は5年以下、罰金は500万円以下へと引き上げられた。また、著しく適正を欠いた密度で飼うことや、けがや病気を放置することを「虐待」と初めて明記し、虐待・遺棄についても従来の100万円以下の罰金だけでなく、1年以下の懲役も科せられるとした。

 改正前は、動物の命を奪った罪が刑法の器物損壊より軽いとの批判があった。罰則強化は虐待を許さないという強い姿勢の表れといえよう。

 これまで努力目標だった獣医師の通報も義務となり、早期発見に有効とみられる。ただ、虐待を見分けるのは難しく、研修の充実が欠かせないといった指摘もある。

 ほかにも、許可を得ればペットとして飼えていた毒ヘビなど危険な動物の飼育は禁止に。都道府県知事が、現在は多数の不適切な飼育に対して行っている勧告や立ち入り検査は1匹でも可能になる。改正が実効性を持つには、行政と警察、現場の獣医師などが連携し、相談や摘発の体制を整えることが必要だ。

 第2段階以降は、ペットショップが子犬や子猫を販売できる時期が生後49日超から56日超に変わる「8週齢規制」を21年6月までに施行。繁殖業者などに対する、犬猫の個体識別番号が記されたマイクロチップの装着義務化は22年6月までに施行される。いずれも衝動買いや安易な飼育放棄の抑止力となろう。

 改正を踏まえ、岡山市は動物愛護管理条例を改正した。市の責務を明記し、ペットを同伴できる避難所設置などを新たに盛り込んでいる。岡山県動物愛護センター(同市)も既に、保護猫を新たな飼い主に譲渡する際のマイクロチップ装着を進めている。

 業者や飼い主は、その動物の面倒を最後までみる責務がある。罰則の周知や譲渡のネットワーク拡充など、命を守る取り組みを加速させたい。

(2020年06月02日 08時00分 更新)

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