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大学生の就職活動解禁日の10月…

 大学生の就職活動解禁日の10月1日。説明会だけだと思い込んでカーディガン姿で行った企業にはスーツで身を固めた学生が並んでいて、面接も行われた▼エッセイストの岸本葉子さんが著書「クリスタルはきらいよ」に書いている。自己PRでは、どの学生もテニスやスキーなどそれまでに打ち込んだことを答える中、会社のパンフレットにあったキーワードを自分の関心と強引に結びつけた感じになってしまった、と。そうした苦い思いを味わった人は少なくなかろう▼40年近く前のことで、今は日程も早まっているが、学生の緊張感は変わるまい。来年春卒業予定の大学生らがきのう、選考活動の解禁日を迎えた▼戸惑いは例年以上に違いない。新型コロナウイルスの感染防止のため、ウェブ形式が増えている。一度も会わずに内定を出すこともあるという。企業に足を運ばなくて済むとはいえ、「画面越しはなかなか慣れなくて…」と、知り合いの学生がこぼしていた▼岸本さんは希望したマスコミ関係の就職先を不合格になり、違う業種の企業に勤める。だが、程なく退職して執筆活動に入り、暮らしや旅のエッセーで人気を集めている。就活の失敗は最初の著書の題材となった▼就職は人生の分かれ道だが、当然のことながら、やり直しもできる。そう思えば緊張も少し和らげられるか。

(2020年06月02日 08時00分 更新)

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