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いつもは少しおっくうだが、今年…

 いつもは少しおっくうだが、今年は待ち遠しかった。あすは衣替え。学生らが夏の制服姿になり、街の空気までキリッと新鮮に感じられる。コロナ禍による外出自粛の間に衣類を整理したお宅も多かろう▼たんすから引っ張り出したり畳んだりする中でまれに、うーん、と悩む服がある。まだ十分着られるけれど飽きた。色あせてしまった。捨てようか。もったいないか…▼そうした服を生き返らせる楽しみが岡山から広がっている。手芸店店主の福原奈々さん(玉野市)と、アパレル企画が専門の岩崎恵子さん(岡山市)が6年前に始めた「黒染め友の会」である▼年1回、希望者は服を持ち寄り、倉敷市の染工場で黒一色に染め直す。どう変身するかは数カ月先のお楽しみ。個人での取り組みは珍しく、ひとまとめにするためコストも低いと県内外で評判を呼ぶ▼きっかけは、エコ意識というより衣服を生かし切りたいとの愛着だったという。とはいえ、「衣料ロス」は「食品ロス」に負けずとも劣らない深刻さで進んでいる。国連の報告では、私たちが1年に買う服は15年前から6割も増えた一方で、手元に置いておく期間は半分になった▼世界で大量に作られた衣類は、毎秒トラック1台分が焼却・埋め立て処分されるそうだ。捨てようかと迷っているそのTシャツ、あとひと夏着ませんか。

(2020年05月31日 08時00分 更新)

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