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学校再開 子どもの心身に目配りを

 新型コロナウイルスの影響で長期の休校を余儀なくされた学校に、子どもたちの声が戻りつつある。緊急事態宣言の解除を受け、岡山県内では休校していた公立の小中学校が先週から順次再開しており、6月1日からは県立学校も再開する。

 通常でも、長期の休み明けには心身に不調を来す子どもが少なくない。教員をはじめ周囲の大人は子どもの変化に目を配り、生活リズムを取り戻せるよう支援したい。

 学校での感染防止対策は欠かせないが、懸念されるのは熱中症だ。気温と湿度が高い中でマスクを着用すると熱中症の恐れが高まるとされる。政府が呼び掛けているように周囲の人との距離を十分に保った上で、適宜マスクを外して休憩することも必要だ。教室内の温度管理やこまめな水分補給にも注意を払いたい。

 新学期になってからの休校は、長いところで1カ月以上に及んだ。学習の遅れを挽回するため、夏休みの短縮や学校行事の中止、土曜授業の実施などが広がりそうだ。今後、感染状況によっては再び休校を余儀なくされる可能性もあろう。できるうちに、授業を進めておく必要はある。

 ただ、急ぎ足での授業展開は子どもにも教員にも、大きな負荷を与えよう。理解が十分でないまま取り残される子どもが増えることも心配だ。必要に応じて補習学習などの対策も求められる。

 政府は2020年度第2次補正予算案で、地域の感染状況に応じた教員加配や、補習などを行う学習指導員、教員の事務作業などを支援するスクールサポートスタッフらを増員するための費用を計上した。学校現場の声を聴きながら、国や自治体は学校への支援を着実に進めてほしい。

 休校中にインターネットを通じたオンライン授業に取り組んだ学校もあるが、パソコンなどの環境が整っていない家庭もあり、対応は学校や地域によって差が出ている。再び休校となる場合に備え、環境整備を進めておきたい。

 文部科学省は最終学年を除き、年度内に消化できない学習内容を次の学年に持ち越してよいとする通知を出した。ウイルス禍という非常時であり、複数年かけての学びを容認するのは当然といえる。

 最も不安を感じているのは受験を控えた最終学年の生徒たちである。学習遅れの対策として9月入学制も検討されているが、政府は早期の導入は見送る方向のようだ。

 文科省は高校入試に関し、生徒が不利益を被らないような取り組みを求める通知を出した。学習の進捗(しんちょく)状況によっては出題範囲を絞るといった対策も必要だろう。

 現在の高校3年生は、大学入試に導入される共通テストに初めて臨む学年であり、不安も大きかろう。入試日程が繰り下げられる可能性も出ている。政府や各大学は丁寧な入試情報の提供に努めてもらいたい。

(2020年05月30日 08時00分 更新)

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