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大舞台またも…岡山の球児悲嘆 春に続き夏の甲子園中止決定

夏の甲子園中止を受け、ビデオ会議システムで選手に語り掛ける学芸館の佐藤貴博監督=学芸館高
夏の甲子園中止を受け、ビデオ会議システムで選手に語り掛ける学芸館の佐藤貴博監督=学芸館高
 春に続き、夏の大舞台までも奪われた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、第102回全国高校野球選手権大会の中止が決まった20日、「夢の扉」が開くことを信じてきた岡山県内の球児らは悲嘆に暮れた。

 8年ぶりの出場を決めていたセンバツが中止になった倉敷商にとって「夏の全国制覇」という目標は、傷心のナインを支える希望の光だった。

 「どんな言葉を掛ければいいのか…」。梶山和洋監督は苦しい胸の内を明かす。「自分たちができるベストを尽くしなさいと伝えてきた。本当によくやってくれたと思う」。コロナ禍で全体練習ができなくなった4月中旬以降も選手たちは夏の岡山大会に向け、個々でトレーニングに打ち込んできた。

 「これまで頑張ってきた3年生と甲子園を目指せないのはつらい」と声を絞り出すのは原田将多主将(3年)。1点差で涙をのんだ昨夏の岡山大会決勝で最後の打者となったが、そこから成長を遂げ、秋の中国大会では初制覇の原動力に。自分のことは二の次に、この日までチームメート一人一人を電話で励まし続けてきた。「幻みたいな存在」―。負けて行けず、勝っても行けず、最後の夏は挑戦することもできなかった聖地をそう表した。

 2年連続出場が断たれた学芸館は昨夏、どんな劣勢に立たされても笑顔を貫き、創部50年目にして甲子園初勝利を飾った。主力メンバーだった竹下夏葵主将(3年)は「やってきたことは絶対無駄にならない。この悔しさを今後の人生に生かせたら」。無念の思いをこらえ、必死に前を向く。

 大会の中止発表後にビデオ会議システムで行われたチームミーティング。佐藤貴博監督は、32人の3年生部員に「次に向けてやるしかない。それだけ」と語り掛け、言葉を継いだ。

 「でも、今日は泣いていいよ」


 ■「心に穴が空いた」「今の状況では仕方ない」―岡山県内の高校野球ファンら

 夏の国民的イベントの中止に、岡山県内の高校野球ファンらは選手を気遣い、残念がる一方、感染リスクが拭えない中での判断に理解を示す声も聞かれた。

 「無観客でも試合をしてほしかった。今年の夏は寂しくなるね」と、県内最多11度の出場を誇る古豪・岡山東商高の近くで夫と長年食堂を営む小西勝代さん(77)=岡山市中区。選手やOBも通う店ではテレビ中継を流し、一緒に応援するのが恒例だったという。

 「ぽっかりと心に穴が空いてしまったのでは…」。総社南高時代に硬式野球部だった岡山県吉備中央町の会社員河内悟彦さん(34)は球児をおもんぱかり、「選手の気持ちに寄り添い、ふさわしい舞台を用意してあげてほしい」と代替大会の開催を求めた。

 甲子園の観戦経験もあるという会社員川渕敏幸さん(48)=備前市=は「かわいそうだが、コロナを収束させることに懸命な今の状況では仕方ない」と受け止めた。

 3年生にとって最後の大舞台だった。2016年夏、岡山大会決勝で九回に逆転で敗れた光南高のマネジャーだった岡山市南区新保の公務員、泉沢理加さん(21)は「甲子園に挑戦することもかなわなかった悔しさを将来の目標を実現するエネルギーに変えてほしい」と願った。

(2020年05月20日 22時35分 更新)

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