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重荷から解放 荷おろしうつ病注意 県精神保健福祉センター・野口所長に聞く

「荷おろしうつ病」に対する注意を呼び掛ける野口正行所長
「荷おろしうつ病」に対する注意を呼び掛ける野口正行所長
重荷から解放 荷おろしうつ病注意 県精神保健福祉センター・野口所長に聞く
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国の緊急事態宣言が岡山など39県で解除され、日常生活が徐々に戻りつつある。解除後にそれまでの緊張感が緩むことで懸念されるのが、精神的重荷から解放された時に生じやすいうつ状態「荷おろしうつ病」の増加だ。岡山県精神保健福祉センター(岡山市北区厚生町)の野口正行所長(56)に対処法などを聞いた。

 ―なぜ「荷おろしうつ病」の発症リスクが高まるのか。

 「荷おろしうつ病」の症状はうつ病と同じで、抑うつ気分(つらくて沈んだ感情が続く)、睡眠障害、食欲の減退など。一般的に、全力を注いで大仕事をやり遂げた後、燃え尽きたような状態になると発症しやすい。

 今回のコロナ禍で、多くの人は感染しないよう外出を自粛するなど、不安とストレスを感じながら2カ月以上生活してきた。緊急事態宣言が解除されて生活が落ち着き、緊張の糸が切れれば、「荷おろしうつ病」が発生しやすくなる。

 ―緊急事態宣言の解除後、一般的なうつ病の要因となる新たなストレスも心配される。

 解除前は、大半の人が外出自粛などに取り組み、「みんな同じ」という意識があった。解除後は、自分と他者との差が気になり始める。例えばコロナ禍で収入の減った人が、影響のなかった人を見ると、自分が不利な状況にあると感じてストレスがたまる。

 岡山県精神保健福祉センターは2018年7月の西日本豪雨の被災者に対する心のケアを継続的に行っているが、災害直後よりも、数カ月が過ぎて、避難所を出ていく人と出ていけない人、家や生活の再建が進む人と進まない人など、差が見えてきた時、不利な状況にある人が精神的にダメージを受けていた。

 ―具体的な予防策は。

 まず情報を入手しすぎないこと。インターネットなどでネガティブな情報を集めすぎると不安感が増す。情報は国や自治体などの信頼できるサイトを1日2回だけ確認するといった自分のルールを設けた方がよい。

 体を動かすことも重要だ。頭の中だけで気分転換するのはとても難しい。散歩や体操などの適度な刺激が、落ち込んだ気分の改善につながる。

 ―病気の予兆を感じたらどうすればよいのか。

 普段と比べて、不安や緊張が強い、イライラするといった気持ちの変化▽疲れやすい、眠れない、めまいなど体の変化▽考えがまとまらない、記憶力が低下するなどの考え方の変化―が予兆になる。変調を感じたら、岡山県精神保健福祉センター(086―201―0850)や、居住する地域の保健所に相談してほしい。

(2020年05月19日 20時59分 更新)

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