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〈エピローグ〉倉敷、総社、早島エリアを振り返って 地域の宝を次の代に

祇園神社からの瀬戸内海(倉敷市)
祇園神社からの瀬戸内海(倉敷市)
総社商店街筋
総社商店街筋
花ござ手織り機(早島町)
花ござ手織り機(早島町)
酒津配水樋門(倉敷市)
酒津配水樋門(倉敷市)
 2017年4月にスタートした「備中 ひと・風・景~高梁川流域百選」。3年間に及んだ連載では、備中エリア11市町の自然や文化、風習などを土地土地の人々の思いとともに紹介してきた。結びとして、倉敷、総社市、早島町の「風景」を振り返ってみたい。

 「無駄な装飾がなく、日常に即した簡素な美がある」

 初回に登場した倉敷民芸館の中庭を、関係者はこう表現した。

 「1300年前の城の住人が見た景色」(総社・鬼城山一帯)、「“イグサ王国”へと発展させる基盤となった史跡」(早島・宇喜多堤跡)。連載はその後も、地域に愛情と誇りを持つ住民らの言葉に導かれながら回を重ねた。

 ■  ■  ■

 取材を通して、備中が有する歴史の重み、先人が残した足跡を再認識させられた。

 造山、作山古墳より古い歴史を持つ秦の古墳群(総社市)、奈良時代の学者・政治家吉備真備の伝説が残る琴弾岩(倉敷市)、室町時代の画僧・雪舟ゆかりの宝福寺(総社市)、良寛が修行した円通寺(倉敷市)…。

 桃太郎伝説に由来する鶴崎神社(早島町)の鬼面作り、江戸時代に命に代えて村人を救った新本義民四人衆(総社市)のように、地域の熱意で現代に伝承された風習や史実もあった。

 祇園神社からの瀬戸内海(倉敷市)といった風光明媚(めいび)な自然、ふなおワイナリー(同)や連島レンコン(同)などの特産物には、地域の恵みが映し出されていた。

 ここ数年、注目を集めているスポットも。そうじゃ吉備路マラソンのランナーらが愛好するランニングコース、国産ジーンズ発祥の地として個性的な店が集積する児島ジーンズストリート、児島から玉野市の海沿いを走る王子マリンロード430には、地元の“資産”を活用した新しい風を感じた。

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 連載が折り返しに差し掛かった頃、未曽有の災害が発生した。18年7月の西日本豪雨。高梁川流域は甚大な被害に見舞われ、連載も約2カ月にわたって休載を余儀なくされた。

 再開から程なくして、被災地の倉敷市真備町地区にある横溝正史疎開宅を取り上げた。施設自体は被災を免れたものの、周辺各所に大きな爪痕が残っていた。それでも住民は「全国の人に元気な姿を」と、横溝ファンが集まる11月の恒例イベントに向け意欲を示した。同じく豪雨で被災した総社市下原にある伊与部山の回でも、関係者は力強く復興へと歩んでいた。

 連載を通して、推薦者が語った共通の願いがある。

 地域の宝を次の代に―。

 残し、伝えたい。企画の趣旨もまさにそこにあったと言える。

 「ひと」とともに受け継がれてきたそれぞれの「風景」は、いつの時代もよすがであり続けるのだろう。

 =おわり

 「備中 ひと・風・景 高梁川流域百選」は、高梁川流域情報ネットワーク加盟社(倉敷ケーブルテレビ、玉島テレビ放送、笠岡放送、井原放送、吉備ケーブルテレビ、矢掛放送、エフエムくらしき、エフエムゆめウェーブ)と共同取材し、山陽新聞の紙面と各局の映像、音声で展開してきました。

 ケーブルテレビ局が番組用に撮影したこれまでの動画は、動画投稿サイト「ユーチューブ」のさんデジ公式チャンネルでもご覧いただけます。

(2020年04月22日 11時10分 更新)

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