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元組員 一念発起、司法書士に 岡山の甲村さん「人の役に」

司法書士として新たなスタートを切った甲村さん
司法書士として新たなスタートを切った甲村さん
 暴力団組員から足を洗い、猛勉強の末に合格率約3%の司法書士試験を突破した男性が県内にいる。岡山市南区植松の甲村柳市さん(47)。4度の服役を経て一念発起し、2018年11月、7回目の受験で合格をつかんだ。準備期間を経て今年から本格的に業務を始めた甲村さんは「第二の人生は世の中に貢献したい」と決意を語る。

 「ヤクザ、やってみいひんか」。20代前半、県内のスナックで知り合った男性にスカウトされ、兵庫県内の暴力団に加入した。組長のボディーガードを務め、恐喝未遂罪などで3度服役した。

 その後、所属団体が上部組織から破門されて解散し、思わぬ形で足を洗うことに。大阪で飲食店を経営して失敗し、岡山に帰ってきたが、今度は公務執行妨害事件を起こした。

 40歳を前にした4度目の服役。「こんなことを繰り返していてはだめだ」。刑務所で自分を見つめ直し、再起への道を模索した。

 最終学歴は中学卒。何か資格を取得しようと思いついたのが司法書士だった。もともと法律に興味があったし、前科があっても受験できたからだ。

 知人に参考書や問題集を刑務所へ届けてもらった。「面白くて一気にのめり込んだ」。民法の条文を全て頭にたたき込み、参考書もどのページに何が書いてあるかまで覚えるまで読み込んだ。出所後、周囲に「無理だ」と言われながらも目標は揺るがなかった。

 腕試しで受けた行政書士試験は1発合格、自信を深めた。司法書士の試験は何度も高い壁にはね返されたが、諦めずに挑戦を続けて合格を果たした。

 既に開設していた行政書士事務所を改装し、今年1月から司法書士として本格始動。不動産登記や民事訴訟の代理など十数件の依頼を受けている。「人の役に立てるのが今はうれしい。多くの人に頼られる司法書士になりたい」と話す。

(2020年04月20日 08時01分 更新)

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