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緊急経済対策 一日も早く支援届けたい

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は緊急経済対策と関連する補正予算案を閣議決定した。東京、大阪など7都府県を対象に緊急事態を宣言したのにあわせて打ち出した。収入減に苦しむ個人や中小企業向けの現金給付などが柱になる。補正予算を早急に成立させて、救済が必要な人のもとに一日も早く届けてもらいたい。

 「日本経済は戦後最大の危機に直面している」。安倍晋三首相は記者会見で強調し、わが国の国内総生産(GDP)の2割に当たる108兆円の緊急経済対策の中身を説明した。経済対策としては過去最大規模だという。

 注目されるのは、収入が減った世帯に対して30万円を、収入が半減した中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を、いずれも現金給付する制度だ。

 コロナウイルスの感染拡大を受け、売り上げが激減している店舗や施設、企業で働いている人たちにとって、世帯への現金給付が助けになるのは間違いない。

 問題は、コロナウイルスの発生前と比較し、2月から6月までの間に、一度でも住民税の非課税世帯以下に所得が下がるなどの条件がつけられていることだ。申請書類を用意するのも煩雑な作業だ。線引きが複雑で、不公平感を生まないかも心配になる。

 受け付けは市町村が担う。国の補正予算が今月中に成立しても、市町村が準備を整えるには相当の時間が必要だろう。安倍首相は5月中の支給を目指すとするが、間に合わない可能性が高かろう。

 深刻な影響を受けた人に絞って手厚く―という趣旨は理解できる。ただ、もっと簡素な支給を求める意見は与党内にもある。補正予算の審議を通じて、申請手続きや支給方法を見直し、分かりやすいものにすべきだ。

 中小企業や個人事業主向けの現金給付は必要な措置だろう。こちらは申請がオンライン中心という。必要な事業者に手間をかけずに行き渡るようにするためには、地元の経済団体の手助けも必要になろう。対策では、無利子、無担保融資枠の拡大や雇用調整助成金制度の拡充も盛り込まれた。事業継続と雇用を守る取り組みを応援したい。

 全体的には、民間金融機関の手を借りて融資枠を拡大し、納税や社会保険料の支払い猶予を認める措置なども加え、対策の総額を膨らませた感は否めない。今回の緊急事態宣言を受けて、休業に追い込まれる店舗などへの補償も含まれていない。落ち込み必至の景気にどれほどの効果があるのかは読み切れない。

 世界恐慌さえ懸念される事態だ。財政健全化にこだわりすぎて実体経済を破綻させては取り返しがつかない。コロナウイルスの感染拡大がさらに長期化する可能性もある。状況を注視しながら、二の矢、三の矢となる経済対策を準備しておく必要があろう。

(2020年04月09日 07時30分 更新)

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