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緊急事態宣言 医療崩壊を防ぐ対策急げ

 新型コロナウイルスの感染抑止に向け、安倍晋三首相はきのう、緊急事態宣言を発令した。改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初めての宣言となる。

 対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は5月6日までとしている。宣言の発令により、対象地域の知事は「法的根拠」を持って、外出やイベント自粛などの要請や指示を出すことができるようになる。

 東京都をはじめ、対象地域では感染者が急増している。日本医師会は今月1日、一部の地域で病床が不足しつつあるとして「医療危機的状況宣言」を発表し、政府に一刻も早く緊急事態宣言を出すよう求めていた。医療崩壊を防ぐための対策は待ったなしといえよう。

 ただ、欧米各国で行われている都市封鎖(ロックダウン)と違い、交通機関を止めたり、罰則付きで外出を禁止したりする規制はない。専門家は、感染爆発を防ぐためには人と人との接触を8割程度減らす必要があると指摘している。日本の場合、強制力が限定的なだけに、どこまで成果を上げられるかは不透明といわざるを得ない。

 密閉、密集、密接という「三つの密」を避け、これまで以上に不要不急の外出や移動を控えねばならず、一人一人の意識をどこまで変えられるかが重要になってくる。首相や知事は正確な情報提供に努め、繰り返し、丁寧に協力を要請してもらいたい。若い世代にもきちんと届くよう、情報発信の仕方の工夫も求められよう。

 併せて、防がなければならないのは宣言に伴うパニックだ。対象地域ではスーパーやコンビニエンスストア、銀行なども引き続き営業し、ライフラインは維持される。食料品などの必需品の買い物が規制されるわけではない。買い占めなどで無用な混乱を起こさないよう、一人一人の冷静な行動が求められる。

 宣言の発令により、臨時医療施設のための土地・建物の強制使用や、医薬品など必要物資の強制収用も行えるようになる。医療現場からはマスクや防護服、人工呼吸器などの不足が報告されている。対応を急がなければならない。

 これまで感染が確認された人は無症状でも全員入院していたが、政府は宣言に合わせ、無症状や軽症の感染者は宿泊施設などで療養できるよう対応方針を変更した。東京都はきのうから借り上げたホテルに入院中の軽症者を移し始めた。大阪府も近く宿泊施設を確保するという。医療崩壊を防ぐ道筋を示すことは安心感にもつながろう。

 今回、緊急事態宣言の対象とならなかった岡山、広島県など他地域も警戒を怠れない。東京や大阪などの先例を参考に、自治体は準備を進めておきたい。感染者の急増に備え、対応方針や行動計画を詰めておく必要がある。

(2020年04月08日 07時30分 更新)

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