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「春告げ魚」の愛称どおり、銀色…

 「春告げ魚」の愛称どおり、銀色の姿が店頭に並ぶと気分が華やぐ。イカナゴである。そういえば今年はコロナ禍に気もそぞろで食べていない▼と、探したがどこも品薄のようだ。瀬戸内海のシンコ(稚魚)漁は不振が続いている。今期も岡山県内をはじめ手応えはいまひとつと聞く。例年2月末~4月半ばの漁期が、魚影のあまりの少なさに兵庫は5日間、大阪に至っては2日間で終漁に追い込まれた▼お向かいの香川は多少活気があり「くぎ煮」や「ちりめん」の需要が高い県外へ高値で出荷している。それでも捕れる量は相当少ないらしい▼なぜ、イカナゴは減ったのか。兵庫県の水産技術センターが調べた結果が本紙にあった。排水による「富栄養化」が原因の赤潮をなくすため水質改善を進めたら、今度は「栄養不足」になった、と▼水がきれい過ぎて餌のプランクトンが減ると親魚は痩せ、産卵数が減る。だが、改善前の1990年代レベルの水質を維持できれば漁獲の回復が見込めるという。同県は下水処理場から海に流す水の窒素濃度を高める試みを始めた▼ただし、不漁の主因は乱獲であることは心しておきたい。陸奥湾や伊勢湾でも禁漁を強いられるほどシンコは激減している。「春にはいつも食べたなあ」。そんなささやかな思い出を次世代につなげられるか。今が考え時だ。

(2020年04月07日 08時00分 更新)

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