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全面ガラス張りの壁面から、家並…

 全面ガラス張りの壁面から、家並み越しに巨大な墳丘のうねりが迫ってくる。まるで、美術館で作品を見るような特別感がある。全国第4位の前方後円墳・造山(つくりやま)古墳(国史跡、岡山市北区新庄下)のそばに今月、ビジターセンターが開館した▼パネルや映像で古代吉備の歴史遺産を紹介。吉備路を訪れた観光客たちに桃太郎伝説ゆかりの地の魅力をアピールする拠点になる▼造山古墳とそれに従う6基の古墳・陪塚(ばいちょう)からなる造山古墳群で近年、新たな取り組みが行われている。文化財の「現状保存」から、適切に手を入れる「保存管理」への転換だ。造山古墳本体も2016年から正確な規模や構造を知るための発掘調査が始まった▼きっかけは陪塚の一つ、千足(せんぞく)古墳だった。精美な直弧文(ちょっこもん)で知られた石室装飾が劣化損傷していることが発覚。岡山市教委は石室を解体して緊急対応する一方、古墳群全体の保存管理計画を策定した。千足古墳では今、築造当時の姿に復元整備する工事が進んでいる▼ビジターセンターにはもう一つの役割もある。地元活動の拠点だ。ボランティアガイドを続けてきた住民グループ・造山古墳蘇生会の人たちは見学基地として期待する▼日本屈指の古墳群が約1600年の永い眠りから目覚めようとしている。行政と地域が手を携えて、吉備の至宝を後世に伝えたい。

(2020年04月05日 08時00分 更新)

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