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広がる大麻汚染 若者にリスクの周知図れ

 深刻化する若年世代への広がりに歯止めをかけねばならない。昨年1年間に大麻事件で摘発された人の数が、6年連続で増加し、過去最多を更新したことが警察庁のまとめで分かった。とりわけ10代、20代の増加が際立ち、見過ごせない状況になっている。

 近年、栽培技術を向上させて幻覚を起こす成分を濃縮させた品種や、電子たばこで蒸発させて吸うリキッドと呼ばれる液状大麻などが出回っている。覚醒剤など、より依存性の強い薬物乱用に至る「入り口」ともされる。

 昨年の摘発者数は、4321人で前年よりも約2割増えた。14~19歳は4割、20代も3割近い増加となっている。

 近年の推移を見ると、摘発者数は2009年の2920人をピークにしていったん減少傾向にあったが、再び増加に転じた。中でも14~19歳の年代をみると、人口10万人当たりの摘発者数は15年の2・0人から昨年は8・7人と4倍以上に増え、汚染拡大の深刻さが見てとれる。

 背景としては、覚醒剤などの成分に似せて作った危険ドラッグが14年に規制強化され、大麻に移行していることが挙げられる。インターネットなどを通じて入手しやすくなり、好奇心から手を出す人も増えているとされる。

 懸念されるのは、大麻使用の危険性がきちんと理解されていない点だ。

 警察庁が昨年摘発した約600人を調査したところ、「危険性がある」と答えたのは15%にとどまり、合わせて79%が「全くない」「あまりない」と回答した。覚醒剤については79%が「危険性がある」としたのと比べ、大麻の有害性に対する認識が著しく低いことが分かる。

 海外では、嗜好(しこう)品や医療用として大麻を解禁している国もあり、認識が甘くなっている面はあろう。だが、幻覚作用や思考力低下、記憶障害などを引き起こすリスクは軽視できないものだ。特に、脳が発達段階にある若い人の場合は、心身への影響がより深刻とされている。

 4年前、相模原市の知的障害者施設で多数の入所者らが殺傷された事件では、殺人罪などに問われた元職員の男=死刑が確定=が大麻を乱用していたことで大麻精神病の影響が焦点となった。

 弁護側の証人を務めた精神科医は、大麻の使用頻度が増えた事件の約1年前から粗暴な行動が増え、犯行時は長期的な常用によって本来の人格ではない別人になっていたと訴えた。判決は、大麻の使用が犯行に影響したとは認定しなかったものの、大麻などの薬物がもたらす恐ろしさにあらためて目を向けさせる機会になったと言えよう。

 汚染の広がりを食い止めるためには、摘発の強化に加えて学校での教育などを通じてそのリスクを周知していくことが欠かせない。特に若者たちに向けた啓発に力を注いでもらいたい。

(2020年04月04日 08時00分 更新)

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