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五輪新日程決まる 課題克服し再出発しよう

 東京五輪の新しい日程が来年7月23日開会、8月8日閉会と決まった。パラリンピックは8月24日から9月5日まで行われる。いずれも、ほぼ1年間スライドしての開催となる。新たな目標ができた。再出発に弾みをつけたい。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と安倍晋三首相らの会談で延期が決まってから、約1週間で決定にこぎつけた。短期間での決着は歓迎したい。新しい日程にそって、さまざまな準備も進められよう。

 開催時期は春先にすることも検討されたが、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大している現状が考慮された。巨大スポンサーとなる米国のテレビ局の意向もあったという。やむを得ない選択だったろう。東京の猛暑を避けるとの理由から、昨年になって開催に協力することになった北海道では、マラソンと競歩が予定通り実施される。

 大会組織委員会は、観戦チケットはそのまま使用できるようにする意向だ。希望者には払い戻しにも応じる方針という。ボランティアの確保も、大会期間が夏休みに重なる条件が変わらないため、影響は少ないとみられる。

 五輪、パラリンピックを目指す選手たちにも気持ちを切り替えるきっかけになろう。すでに代表が決まった競技は再選考するかどうかが課題になるが、マラソンや卓球は再選考しない方針。結論を出していない競技団体もある。

 選考がこれから始まる競技も多い。1年の延期は強化スケジュールの変更を迫られる選手にとって、大きな負担になるだろうが、さらなる進化を目指して前向きに取り組んでもらいたい。競技団体をはじめとした関係者のサポート強化も欠かせまい。

 大会を実現させるうえで、最大の懸案は新型コロナウイルスとの闘いである。これから感染が爆発的に拡大する国が出てくる可能性もある。世界全体で感染を終息させられなければ、再延期や中止という選択肢も残る。

 安心して開催するためには、予防のためのワクチンや治療薬の開発が急がれるが、間に合う保証はない。これまでのわが国の対応は、国民への説明不足も含めて及第点とは言えまい。感染予防と治療法開発の先頭に立ち、世界をリードするくらいの気概を持ってもらいたい。

 1年延期に伴う費用負担の問題もある。予定されていた開催経費1兆3500億円に加え、競技会場の賃借料、人件費、関係者のホテルの再手配などで3千億円程度が必要になるという。国と東京都が力をあわせて解決する必要があろう。

 五輪史上初めて延期される東京大会について、安倍首相は「人類がウイルスに打ち勝った証しとして必ず成功させたい」と言い切る。国際公約ともいえる重い言葉である。責任を伴っていることを忘れてはなるまい。

(2020年04月03日 08時00分 更新)

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