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残業時間の端数処理

 「残業を1時間20分行ったにもかかわらず、会社から『残業代は30分単位でしか支払わない』と言われ、1時間分の残業代しかもらえていない」―このような経験をしたことはおありでしょうか。このような扱いをすることは、法律上問題はないのでしょうか。

会社は1分単位で残業代を計算し
賃金として支払わなければならない


 労働基準法では、賃金はその全額を労働者に支払わなければならず(24条1項)、時間外労働については割増賃金を支払わなければならない(37条1項)と定められています。たとえ残業時間が1分であっても、それは時間外労働であり、会社はその部分に相当する残業代を賃金として支払わなければなりません。そして会社は残業代を1分単位で計算しなければならず、1日ごとに残業代を30分単位、15分単位、1時間単位などで切り捨てたり、四捨五入したりすることは許されていません。従って、冒頭に述べたような事例は労働基準法違反であり、労働者は支払われなかった20分の残業代を請求できます。

1カ月分の残業時間の合計から
端数を四捨五入するのはOK


 ただし、1カ月分の残業時間を合計したところ1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることについては、行政通達によって許されています。この計算方法は、常に労働者の不利になるというものでもありませんし、また残業算定を簡便に行うことを目的としたものだと考えられているからです。もちろん、1カ月分の合計であっても、常に端数を切り捨てるルールであれば、これは常に労働者の不利になりますから、許されないものと思われます。

 つまり「1日単位で端数処理をすること」や「1分より大きな単位で常に切り捨て計算をすること」は法律上問題があります。たとえ1日の切り捨て時間が10分や20分でも、積み重なれば何時間、何十時間となっていきます。残業代はわずか2年で時効にかかりますので、もしこの点で疑問に思うことがあれば、お早めにお近くの弁護士にご相談ください。

先生紹介

  • 安達祐一 先生

    安達法律事務所

    倉敷市鶴形1-4-15 シャトーブリアン2F

    TEL.086-423-5311 http://www.adachilaw.jp/

    2004年東京大学法学部卒業。同年司法試験合格。司法修習を経て06年弁護士登録。10年、生まれ育った倉敷市内で開業。

    「地元住民の方に密着したサービスを心がけています。倉敷センター街の先にある事務所で、ご相談をお待ちしています」

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