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岡山発映画ニュース

倉敷出身の平松映画監督が新作 「あの日のオルガン」22日公開

戸田は責任感が強く、大原は天真らんまんな保母役。「互いが照射し合って作品が成り立つ。その役割を見事に体現してくれた」と話す平松監督

映画「あの日のオルガン」の一場面=(c)2018「あの日のオルガン」製作委員会)

 山田洋次監督の右腕として長年「山田組」を支えてきた倉敷市出身の平松恵美子監督(51)の新作「あの日のオルガン」が、22日から全国公開される。6年ぶりとなる監督2作目は、太平洋戦争末期、東京・品川にあった保育所の若い保母たちが国の決定を待たずに自力で園児と疎開し、東京大空襲の戦禍を逃れた実話を基にする。帰岡した平松監督に作品に込めた思いを聞いた。

 日に日に空襲が激しくなる1944年。学童疎開は始まったものの、まだ幼く疎開の対象となっていなかった未就学児を守るため、園児53人を連れて埼玉の無人寺へ移った保母らがいた。前例のない「疎開保育園」を舞台に、小さな命と24時間向き合いつつ、親や疎開先住民の理解・協力を得るため奔走し、食糧不足など幾多の困難に立ち向かうヒロインたちを、ダブル主演の大原櫻子、戸田恵梨香らが演じる。

 監督・脚本の打診を受けた平松監督は、当時の関係者を取材した原作(久保つぎこ著)を読み、「20代の女性たちが自分たちで考え、周囲を巻き込んで行動に移した。現代でも難しいことを、不自由な時代にやってのけたのはすごいこと」と感銘を受けたという。

 撮影は昨年3月から約1カ月間。「保母役の女優陣に園児たちとの関係を築いてもらい、芝居を任せた」。そのため、一番の見どころは「子どもたちの輝き」と話す。劇中、親元を離れた寂しさを抱えながらもはしゃいだり、けんかしたり、無邪気な表情をみせる姿が映し出される。誰もが自分のことで精いっぱいだった時代、保母たちは子どもたちの笑顔に突き動かされ、奮闘する。

 岡山大理学部を卒業後、東京での会社員生活を経て1992年に山田組入り。助監督見習いから始まり、「母べえ」(2008年)、「おとうと」(10年)、「東京家族」(13年)などで山田監督と共同脚本を手掛け、人と犬との絆を描いた「ひまわりと子犬の7日間」(同)で初監督を務めた。

 戦争を題材にした映画は重く苦しい印象を持ちがちだが、今作では保母たちが笑ったり、怒ったり、友情が生まれたり。「戦時中とはいえ、そこには生活があったわけですから」と、クスッと笑える若い女性たちの日常を丁寧に描いたのは、山田監督とともに映画づくりをしてきた影響だという。

 「彼女たちが守った命が戦後復興の一翼を担い、昭和から平成という時代をつくり上げた。私たちはそれを引き継ぎ、良い時代にしていると言えるでしょうか。今一度考えてみてほしいですね」

 ◇

 MOVIX倉敷などで公開予定。

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