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岡山発映画ニュース

牛窓舞台の映画「港町」岡山上映 21日から、想田和弘監督作

映画「港町」の一場面(©Laboratory X, Inc.)

「ワイちゃんの網を繕う手の動きや船を操縦する熟練の技術に驚いた。牛窓での体験や出会いを映画を通して共有したい」と語る想田監督

 瀬戸内市牛窓町を舞台にした映画「港町」が21日から、シネマ・クレール丸の内(岡山市北区丸の内)で上映される。BGMもナレーションも、台本もない。想田和弘監督(47)=ニューヨーク在住=が目の前の営みをじっと凝視するようにカメラに収めた「観察映画」の第7弾は、港町の何気ない日常を映しつつ、異世界に引き込まれたような不思議な感覚に陥る作品に仕上がっている。

 これまで岡山市の精神科診療所に密着した「精神」(2008年)、瀬戸内市のカキ加工場を撮った「牡蠣(かき)工場」(15年)など、岡山を舞台にしたドキュメンタリー映画を数多く発表し、世界的に高い評価を得てきた想田監督。今作では、ベテラン漁師のワイちゃん、港にやってくるおしゃべりなおばあさんクミさんを中心にした港町の暮らしを映し出す。

 前作「牡蠣工場」の撮影中、カメラを持って港を歩いていた想田監督に「これも撮れ」と言わんばかりに、漁で取れた大きな魚を見せたのが、ワイちゃん。ごつごつした手や深く刻まれたしわ、そのたたずまいにひかれて翌朝には漁に同行。揚がった魚を卸す市場も収め、さらにそこで出会った魚屋さんについて行く。魚はさばいて販売され、アラは野良猫たちのえさになった―。「しりとりのように追いかけたら映画になっていた」と笑う。

 老人と多くの猫が暮らす小さな町。漁の担い手は高齢化し「いつか漁師はこの町から消えてしまうかもしれない」と、網を繕ったり網から魚を外したりする手元や、巧みに船を操る姿を丁寧に記録していく。

 ワイちゃんを追いかけていると、カメラに割って入ってきたのがクミさんだ。「カメラ越しに異次元へ連れさられたようだった」と振り返る、後半のクミさんの告白は、淡々とした作品に強烈なインパクトを与えている。「出会ったもの、人々、状況を素直に撮っていったらとんでもないものに遭遇した。僕が被写体を選んだのではなく、選ばれたように感じました」

 妻でプロデューサーの柏木規与子の提案で、あえてモノクロ作品にしたことで「200年前にも200年後にも見え、時空を漂う異空間に迷い込んだ感覚になる」と自信をみせる。ありふれた日常の風景が、モノトーンの映像でぐんと深みを増す。

 ベルリン国際映画祭(2月)では革新的な作品を対象としたフォーラム部門に正式招待され、会場が満席となるなど好評を得た。「小さな町の日常から、過疎や出会いと別れといった普遍的なものを映しているからでしょう」と分析する。

 見た人の反応はさまざまで、「経済の循環を映していると言う人がいれば、出会いと別れの映画と言う人もいる。人それぞれにテーマを見つけてもらえればいい。あくまでも視点を提供するのが僕の役割ですから」。

 公開初日には想田監督の舞台あいさつがある。

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