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小田川の洪水対策は長年の懸案 国交省が秋にも付け替え着工

2018/07/09 23時15分 更新

 住宅地など約1200ヘクタールが水没し、多数の犠牲者が出ている倉敷市真備町地区。決壊した高梁川の支流・小田川では国土交通省が治水対策として付け替え工事を計画し、今秋にも着工の予定で、「工事が完成していれば被害が軽減された可能性は高い」(同省岡山河川事務所)という。一方、一帯では1960年代に治水機能を高める堰(せき)の建設が計画され、2002年に中止になったものの、洪水対策は長年の懸案。専門家からは「早期の対応が必要だった」との指摘もある。

 同事務所などによると、高梁川は小田川との合流後に大きく湾曲しており、大雨による増水時には小田川への逆流が起きるなどして水位が上がりやすい特性がある。合流点付近では1970年代以降、たびたび洪水が発生しており、今回の決壊も合流点で水が流れにくくなったことが影響した可能性がある。

 小田川の付け替え工事は、国交省が2010年に計画を決定。合流点そばにある柳井原貯水池(倉敷市船穂町)を小田川のバイパス(長さ約3・4キロ)として整備し、合流点を約4・6キロ下流に移す内容で、14年度に事業着手して設計や地元説明を実施。今秋にも工事に取り掛かり、おおむね10年後の完成を目指す。事業費は約280億円。

 付け替えによって合流点での水の流入がスムーズになり、小田川の水位を最大で約5メートル下げる効果が見込めるという。同事務所の常保雅博副所長は「決壊時の水の流れや堤防の状況を検証しないと断言できないが、工事が完成していれば、被害は軽減できたと考えられる」と話す。

 小田川を巡っては国が1968年、周辺市町の都市用水確保と治水対策のため、柳井原貯水池を小田川のバイパスとした上で同貯水池内に柳井原堰を建設する計画を発表した。しかし「堰を造れば基礎部分にコンクリートが打ち込まれ、地下水が枯れる恐れがある」といった地元の反対などもあり、事業の方向性は二転三転。最終的に岡山県が2002年、水の需要減を理由に堰の建設をやめて小田川の治水を中心に事業を進めるよう国に要望、国が中止を決めた経緯がある。

 小田川の治水対策はおよそ半世紀にわたって続く懸案といえ、岡山大大学院の前野詩朗教授(河川工学)は「予算の制約などで仕方がない面はあるが、治水機能の上では、できる限り早く手を打つべき場所だった」と指摘。今後の事業のペースアップを求める。

 岡山県の伊原木隆太知事は取材に対し「正直、(治水対策が)早くできていればとの思いはある」とした上で「限られた予算をいかに振り向けるべきか。今後、現状のままでいいのかという議論にはなろうかと思う」と話した。

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