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「あの日」から津軽三味線に転向 岡山の櫻根さん 被災地に思いはせ

2017/03/09 23時05分 更新


12日の演奏に向け、音を合わせる櫻根さん(右)と妻のあやかさん=岡山市内のライブハウス

 東日本大震災を機に、ロックから津軽三味線に転向したプロミュージシャンが岡山市内にいる。櫻根(さくらね)武之(本名・裕之)さん(40)=同市南区=だ。東京都内で震災によるイベント自粛などを経験し、音楽の方向性を悩んだ末に「聴く人を前向きな気持ちにする力がある」と楽器を持ち替えた。12日には地元公民館で、被災地に思いをはせながら、ばちをさばく。

 岡山市出身の櫻根さんは15歳の頃にロックと出合い、ギターやドラムを独学で始めた。県内のバンドコンテストで優勝し、プロを目指して2003年に上京。所属事務所からアルバムもリリースした。09年には金管楽器を加えたブラスロックバンドを約10人で結成。「見ている人に想像以上のパフォーマンスを提供したい」とエンターテインメント性を追求してきた。

 状況が一変したのは「あの日」。都内の飲食店でアルバイトをしていた櫻根さんは、震度5弱を経験。ビルがしなる光景は今も目に焼き付く。直後から計画停電が始まり、コンサートなどの自粛ムードが広がった。被災地の復興支援にも携わる中で「これまで通りの音楽活動でいいのだろうか」と自問自答が続いたという。

 震災発生から約2カ月後に銀座で開かれた復興支援イベントで、東北が発祥地の津軽三味線の生演奏を初めて耳にして迷いが吹き飛んだ。繊細な旋律と力強い音色に「どんな場所でも楽器一つで多彩な表現ができる。これだと思った」。

 全国大会で優勝経験のある廣原武美氏(40)の弟子になり、海外公演もこなした。15年12月に拠点を岡山に移し、ピアニストで妻のあやか(本名・亜桂)さん(40)と音楽事務所「櫻根座」(岡山市南区芳泉)を設立。三味線とピアノの教室を開く傍ら、ライブや地域イベントなどで演奏している。

 12日は岡山市立南公民館(同所)の防災啓発事業に夫婦で出演。転向後、震災関連イベントで演奏するのは初めてだ。櫻根さんは「記憶を風化させてはならない。復興はまだ途上。自分たちに何ができるのかを考えるきっかけになれば」と力を込める。

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