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夫の兄弟に夫の死亡退職金を渡すべき?

Q:サラリーマンの夫が亡くなり、会社から死亡退職金が支払われることになりました(子どもはおらず両親も他界)。夫の兄弟がその一部を渡すよう求めていますが、応じなければなりませんか。

A:死亡退職金の受給権者は会社の規定によって決まる

 この問題は基本的に、死亡退職金を誰が受給すべきかについて、会社がどのような規定を置いているかで決まると考えられます。

(1)民法の相続に関する規定とは異なる、会社独自の規定がある場合

 死亡退職金は遺産ではなく、会社の規定によって指定される受給権者の、固有財産であると考えられています(最高裁昭和55年11月27日判決)。例えば第一順位の受給権者が配偶者と定められていれば、それは遺産ではなく、ご主人の配偶者であるあなた個人の財産になりますので、ご主人の兄弟に分割する必要はありません。

(2)受給権者が「死亡した従業員の遺族」となっている場合

 死亡退職金は相続財産になるとした裁判例があります(大阪地裁平成22年9月10日判決)。相続財産であれば、法定相続分に従って分割されますから、兄弟にも権利があることになります。

(3)退職金規程がなく、会社内部の決議(取締役会決議等)で支給することになった場合

 決議で指名された受給権者の固有の財産になるので(最高裁昭和62年3月3日判決)、他の人に分割する必要はありません。

 ただし、受給権者についての規定の解釈は、個別具体的な事情によって左右されるので、常に上記の基準が当てはまるとは限りません。

 疑問に思うことがあれば、ぜひお近くの弁護士にお尋ねください。

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先生紹介

  • 安達祐一 先生

    安達法律事務所

    倉敷市鶴形1-4-15 シャトーブリアン2F

    TEL.086-423-5311 http://www.adachilaw.jp/

    2004年東京大学法学部卒業。同年司法試験合格。司法修習を経て06年弁護士登録。10年、生まれ育った倉敷市内で開業。

    「地元住民の方に密着したサービスを心がけています。倉敷センター街の先にある事務所で、ご相談をお待ちしています」

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