文字

物損に対する慰謝料

 誰かが他人のものをわざと、あるいは誤って壊してしまった場合、その損害を賠償する必要があります。通常は修理費や交換費用、場合によってはその物の時価額を賠償することになります。

 しかし、本当に大切にしていたものを壊されてしまった場合、単に修理費用を払ってもらうだけでは気が収まらない、慰謝料も払ってもらいたい、と思うことがあるかもしれません。そのような請求は可能でしょうか。

特別な事情がある場合は
物損でも慰謝料が認められる


 まず原則として、物損の場合、慰謝料は認められていません。財産上の損害が賠償されれば(つまり修理や買い換えが行われれば)、精神的な苦痛もなくなる、と考えられているからです。もっとも判例上は、特別な事情がある場合は、慰謝料が認められることもあると指摘しています(昭和42年4月27日最高裁判決)。

 ではどのような事情がある場合に、慰謝料の請求は認められるのでしょうか。実際の裁判例を見てみますと、(1)家族同様の地位を占めていたペットが、死亡または負傷した場合(2)自宅などの建物が損壊し、修繕がなされるまでかなりの不便を忍ばなければならなくなった場合(3)芸術家が自ら作成した、高い評価を受けている芸術作品が破損した場合(4)墓石や墓地など、普通の人であれば当然に特別の敬愛追慕の念を抱く物が破損した場合—などは比較的認められているようです。

自動車はほとんどの場合で
慰謝料を認めていない


 対照的に、自動車の破損の場合は、ほとんど認められていません。自動車は愛好者も多く、大きな思い入れがあって大事にしている、というケースも少なくないのですが、裁判例上は新車や稀少車が破損した場合であっても、ほとんどの場合で慰謝料を認めていません。

 物に対して感じる思いは人それぞれで、ときにはその違いが大きな争いになることもあります。そのようなことでお困りの場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。

この記事は会員限定です。
電子版にご利用登録後、ログインして全文をご覧頂けます。

先生紹介

  • 安達祐一 先生

    安達法律事務所

    倉敷市鶴形1-4-15 シャトーブリアン2F

    TEL.086-423-5311 http://www.adachilaw.jp/

    2004年東京大学法学部卒業。同年司法試験合格。司法修習を経て06年弁護士登録。10年、生まれ育った倉敷市内で開業。

    「地元住民の方に密着したサービスを心がけています。倉敷センター街の先にある事務所で、ご相談をお待ちしています」

【安達祐一 先生】の最新記事

  • 解雇に伴い、社宅の退去を求められた

    Q:私は現在家族とともに社宅に住んでいますが、先日勤務先を解雇されました。勤務先からは、社宅使用契約書に記載されているとおり、3カ月以内に社宅を退去するよう求められています。応じなければならないの ...

    ⇒続きを見る

  • 研修受けるも仕事がない

    Q:先日、「在宅で月5万円の収入!」「誰でも簡単HP作成!」というネット広告を見て、内職を始めました。業者指定の教材を買い、高い受講料を払って研修を受けましたが、仕事は一向に回ってきません。どうす ...

    ⇒続きを見る

  • 退職と有給休暇

     半年以上継続して勤務している従業員には、原則として有給休暇が付与されます。会社を退職することを決めた時点で、未消化の有給休暇が残っていることもあるでしょう。この時、残っていた有給休暇はどうなるの ...

    ⇒続きを見る

  • 戸籍上の氏を旧姓に変更したい

    Q:私は3年前に夫と離婚し、離婚後も夫の氏を名乗っています。しかし最近実家で両親と同居することになり、近所へは両親の氏(旧姓)を名乗って生活しています。不便なので戸籍上の氏を旧姓に変更したいのです ...

    ⇒続きを見る

ページトップへ

ページトップへ

facebook twitter rss

▼山陽新聞社運営サイト
さんデジタウンナビ | 岡山の医療健康ガイド | マイベストプロ岡山 | 47CLUB | さん太クラブ | おかやまリフォームWEB | LaLa Okayama
山陽新聞カルチャープラザ | 建てる倶楽部 | 山陽新聞進学ガイド | 山陽新聞プレミアム倶楽部 | まいられぇ岡山 | 囲碁サロン
▼関連サイト
47NEWS | 今日のニッポン
掲載の記事・写真及び、図版などの無断転記を禁じます。すべての著作権は山陽新聞社、共同通信社、寄稿者に帰属します。

Copyright © The Sanyo Shimbun. All Rights Reserved.