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江川三郎八が中山神社拝殿を設計 津山で大正期改修、格天井を確認

江川式建築に多く見られる「格天井」。板を縦、横に配するなど洋風の意匠が施されている=津山市一宮、中山神社拝殿

江川三郎八(江川三郎八研究会提供)

 岡山県の建築技師江川三郎八(1860~1939年)が大正時代、美作国の一宮・中山神社(津山市一宮)の拝殿など3棟の建て替えや改修を手掛けていたことが19日までに分かった。江川は国重要文化財・旧遷喬尋常小(真庭市)など公共建築に西洋の様式を取り入れたことで知られるが、現存する神社の設計に携わったのが判明したのは2例目。県内の近代神社建築の系譜を知る上で貴重な資料となりそうだ。

 顕彰活動に取り組む「江川三郎八研究会」(難波好幸代表、9人)によると、拝殿の写真を見たメンバーが江川式建築と類似することに気付き、6月の実地調査で旧遷喬尋常小などと同様に木を格子状に組む「格(ごう)天井」を確認した。「日本古来の技法だが、格子目ごとに板の配置を変化させるなど洋風の意匠を施している」と同研究会。

 さらに拝殿と釣殿には、屋根の軒を支える垂木2本を対にした「吹き寄せ」を採用。神楽殿の屋根にも三角形を基調にした西洋式骨組みを取り入れるなど、江川式建築の特徴が随所に見られた。

 中山神社は慶雲4(707)年創建。大正10、11(1921、22)年に本殿(国重文)の修理とともに、拝殿と釣殿を建て替え、神楽殿を改修した。当時刊行された「中山神社資料」に拝殿、釣殿、神楽殿の設計者として江川の名が記されていたことも分かった。

 研究会の調べでは、江川は県内で学校や警察署、役所を中心に100以上の施設を設計。現存するのは20ほどで国重文や登録有形文化財も多い。一方で神社建築は、いずれも現存しない招魂社(岡山市、現在の県護国神社)と三勲神社(同市、社殿が別の場所に移設)だけとされていたが、2015年に木山神社(真庭市)で拝殿などが確認された。

 研究会事務局の森俊弘さん(真庭市教委参事)は「これまで注目されなかった近代の神社建築の様子や流れを読み解く意義ある発見だ。江川が他にも神社を設計した可能性も高まった」としている。

 えがわ・さぶろうはち 会津藩士の家に生まれ、福島県技師として洋風建築を学んだ。1902年に岡山県職員に転じ、旧旭東幼稚園園舎(岡山市、国重文)や現存しない県会議事堂(同市)などを手掛けた。西洋建築の構造と和洋折衷の外観が特徴で「江川式建築」とも呼ばれる。

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