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最上稲荷[最上稲荷山 妙教寺](さいじょういなり さいじょういなりさん みょうきょうじ)

本殿である霊光殿は1979(昭和54)年に建てられたもの

黄金に輝く仁王像が荘厳な仁王門

力強い石組みが特徴の池泉鑑賞式庭園「寒松庭」

江戸時代に再建された旧本殿・霊応殿

正月には県内随一の初詣客でにぎわう本殿(霊光殿)の前

塗り直しされ、さらに威厳を増した大鳥居

両縁の神を祀った縁の末社。左が縁切りで、右が縁結び

最上さま

題目うちわ太鼓

滝行も体験できる修行体験「浄心」

10万袋の福豆を投じる「節分豆まき式」

7月の第3日曜日にある夏季大祭は八大龍王尊の祭り

12月第2土・日曜日に行われる「お火たき大祭」

伏見、豊川稲荷と並ぶ、日本三大稲荷のひとつ

代表的ご利益
家内安全/商売繁盛

<歴史>

人々の信仰に支えられ繁栄してきた稲荷

 今から約1200年前の高松稲荷周辺は山々に囲まれ、山岳修行に最適な場所だった。備前四十八カ寺を開基したという報恩大師もこの地で修行していたが、752(天平勝宝4)年、大師のもとに孝謙天皇の病気平癒の勅命が下った。そこで大師は八畳岩の岩窟にこもって祈願を行い、満願となる日の明け方、瑞雲たなびくなか、白狐に乗って降臨した最上位経王大菩薩(最上さま)を感得。大師はその尊影を刻み、霊域に安置し祈願を続けたところ、孝謙天皇は無事快癒されたという。

 785(延暦4)年に桓武天皇が病気になられた際も勅命が下り、大師が祈願したところ病気は全快。喜ばれた天皇は大師に堂宇建立を命じた。建立地を探していた大師に「吉備国・龍王山のふもとに堂宇を定めよ」とお告げがあり、現在の場所に「龍王山神宮寺」を建立した。

 しばらくの間、龍王山神宮寺は備前・備中初の道場として栄えたが、戦国時代に羽柴(豊臣)秀吉の備中高松城水攻めなどの戦乱によって、最上位経王大菩薩の尊像は場所を移し、難を逃れたものの、多くの堂宇や宝物、記録を消失してしまう。その後、新しく領主となった花房家の庇護の下、寺名を「稲荷山妙教寺」とし、1601(慶長6)年に復興。

 それ以来、不思議なご利益を授ける最上さまとして多くの人々の信仰を集め、ますます隆盛を極めた。1954(昭和29)年には、最上稲荷教として立教し、その総本山として伏見・豊川と並ぶ日本三大稲荷として知られるようになった。2009(平成21)年に傘下の寺院とともに日蓮宗に復帰し、現在に至っている。

<境内案内>

神仏習合をよく伝える貴重な建物・史跡の数々

 明治時代の廃仏毀釈運動で歴史的遺産を失った寺院は多いが、最上稲荷は今でも神仏習合時代の形態を数多く残している。妙教寺本堂や客殿をはじめ数々の建物が登録有形文化財になっており、広大な敷地内には古いものと新しいものが混在、融合している。

 国道180号方面から見える大鳥居は高さ27・5メートル。深みを帯びたベンガラ色で、天気によって色合いや表情が変わるという。白亜の美しい門構えの仁王門には、黄金の輝きを放つ仁王像が安置され、その威厳ある姿に多くの参拝者から崇敬を集めている。

 開山1200年を記念して建立された本殿(霊光殿)は、間口、奥行き、梁高ともに24メートルという巨大な建物。最上三神である最上位経王大菩薩、八大龍王尊、三面大黒尊天が祀られ、日々のお勤めや主要行事が行われる。

 霊光殿の右後上方には旧本殿・霊応殿があり、1741(寛保元)年に日道聖人により再建されたもので、岡山市指定の重要文化財になっている。ここには最上さまの御分霊をはじめ、釈迦牟尼仏立像、三十番神像が安置されている。三十番神は法華経の守護神で、日本と日本国民を1カ月30日(旧暦)の日替わりで守護するとされる。毎月22日は稲荷大明神の当番日で、通常祈祷とは異なる奥秘加持祈祷が行われる。

 旧本殿の周囲は最上さまに仕え、衆生救済の手助けをする神さまを祀る七十七末社が並ぶ。七十七末社の神さまはさまざまなご利益を授けてくれるのが特徴。なかでも縁を結ぶ縁引天王と縁を切る離別天王の社を祀る特別エリア「縁の末社」は、男女の縁だけでなくさまざまな福縁を結ぶ良縁成就と、人間関係に限らず病気や悪癖などの悪縁を絶つ縁切りが同時にできる。社をお参りした後に、裏にある「撫で石」に願い事を撫で付けるという参拝方法で、一社だけをお参りするのではなく、必ず両社を参拝することが正式な作法となっている。

<境内周辺>

昔ながらの門前町には土産物店や旅館

 仁王門から大駐車場までの参道には土産物店や旅館、飲食店など約50軒が軒を連ね、昔ながらの門前町を形成している。東参道の顕妙閣では精進料理の会食や宿泊もできる(食事・宿泊は要予約)。

 旧本殿に登る途中に龍王山への登山道があり、中腹にある八畳岩や題目岩に行くことができる。題目岩のある一帯は最上さまの元のお宮があったため「元宮」と呼ばれている。

<新たな伝統>

歴史や伝統を生かした魅力的な新行事

 古来からの行事を守る一方で、新たな行事も積極的に開催し、最上稲荷の新たな伝統づくりにも力を入れている。毎月7日に「縁の末社で両縁参り」を開催。奇数月は良縁、偶数月は縁切りとし、僧侶が正しい参拝方法や法話をしてくれる。平日でも20人以上、土日と重なると100人以上の参拝者が訪れ、好評を博している。

 最上稲荷が独自の荒行を行う修行道場であることにちなみ、修行体験「浄心」も開催している。うちわ太鼓を叩き題目を唱える「唱題行」と「写経」に加え、滝に打たれる「滝行」も体験できる。近年では大手企業が新入社員研修に「浄心」を活用しており、社員研修としての利用も可能だ。2017(平成29)年は10月29日(日)に開催予定なので、ホームページで確認したい。

 またうちわ太鼓を叩き「南無妙法蓮華経」を唱えながら、旧本殿の拝殿を百周歩く「題目うちわ太鼓」が毎月1回行われている。古来から伝わる民間習俗「お百度」を元にひたすらに祈りながら、自分の内面を見つめ直す修行として始められた(事前に申し込みが必要)。

<年間行事>

県内最大規模の新春開運大祈願祭

 最上稲荷では年間行事も盛大に行われる。1月1日から15日まで「新春開運大祈願祭」があり、祈祷会が三が日は昼夜連続で行われる。参拝客は、三が日だけでも60万人が訪れ県内最大の規模だ。

 2月の「節分豆まき式」は最上さまの脇神・三面大黒尊天の祭典。開運厄除けを願い、有名芸能人のゲストを招いての豆まきが行われ、多数の豪華景品も人気。7月にある「夏季大祭」は別名「水の祭典」とも呼ばれる八大龍王尊の祭り。雨乞いと水難退散、五穀豊穣を祈願する。

 9月15日に行われる「最上位経王大菩薩年次祭」は最上さまから深く加護が得られるという大祭日。本殿で特別祈祷が行われるほか、本殿前にはお手綱を設置。最上さま降臨の場面を表す寒松庭の無料開放も行われる。

 12月の「お火たき大祭」は最上さまの御宝前で孝謙・桓武天皇の病気平癒の叶った護符に感謝の祈りを捧げたところ、護符が香の煙とともに消えたという故事に基づいた伝承行事で、諸願を叶えた御神札を感謝を込めて焚きあげるというお祭りである。

ご案内

住所/〒701-1331 岡山市北区高松稲荷712
TEL/086-287-3700
交通/岡山自動車道・岡山総社ICから車で10分。JR桃太郎線・備中高松駅から車で5分。岡山空港から車で10分
HPアドレス/http://www.inari.ne.jp/
宗派/日蓮宗
ご本尊/久遠実成本師釈迦牟尼仏
祈祷本尊/最上位経王大菩薩(最上さま)
開山/752(天平勝宝4)年
ご利益等/家内安全、商売繁盛、学力増進、除厄得幸、運気向上、身体健全、交通安全、合格成就、安産成就、良縁成就、心願成就、七五三祈祷
代表的寺宝/旧本殿・霊応殿(1741年建立、市指定重要文化財)、妙教寺本堂(1881年建立、登録有形文化財)、妙教寺客殿および庫裏(1916年)、妙教寺山門(1921年)、御水舎(1863年)、大いちょう(樹齢約400年)、仁王門(1958年)、寒松軒、各天王社ほか

年間行事

毎月1日/朔日参り
毎月7日(1月を除く)/縁の末社で両縁参り
毎月22日/三十番神稲荷大明神特別祈祷
毎月最終日曜日(1、12月を除く)/題目うちわ太鼓
1月1~15日/新春開運大祈願祭
2月節分の日/節分豆まき式
5月中旬/鑽仰茶会
7月7日/七夕まつり
7月第3日曜日/夏季大祭
9月15日/最上位経王大菩薩年次祭
11月1~30日/七五三まつり
12月第2土・日曜日/お火たき大祭





【ちょっと 見ていかれぇ】

八畳岩

 報恩大師が岩窟にこもり祈願を行った21日目の早朝、最上尊が降臨された霊地。山道を20分ほど登るが、ここで深呼吸すれば元気が出ると訪れる人が多い。近くには報恩大師が祈願の際に端座された岩(巌)の一つが割れ、清水がわき出したという巌開明王がある。


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