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浸水した「希望」思い託され修復 岡山で8日からチーム活動報告展

はがきを託した絵画修復士斎藤さん(中)、今村さん(右)に「またいつか絵手紙を楽しめる日がくると思う」と話す後藤さん

活動報告展に展示される「幸」と大書した絵手紙。これから泥汚れを落とし、乾燥、成形して後藤さんに戻される

 西日本豪雨で浸水被害に遭った絵や日記、写真などをできるだけ元の状態に戻す作業を続けている絵画修復士らのチームが、8日から岡山市内で活動報告展を開く。“あの日”から5カ月。展示される品々の中には、ある女性が明日への希望をかける1枚のはがきもある。

 女性は介護福祉士後藤倫好(みちこ)さん(43)=倉敷市真備町地区。絵手紙の月刊誌を通じて知り合い、月1度のペースで季節の風物を描いたはがきを送り合ってきた兵庫県赤穂市の友人からの1通を託した。

 それは今年1月の誕生祝い。「幸」と大書した背景にランが黄色い花を広げ、「ささやかなしあわせに感謝する心」と添えられている。一年を見守ってくれるような明るいエネルギーに笑みを誘われ、いつでも目に入る食卓へ飾っていた。

 ところが豪雨に見舞われた7月6日、自宅は2階まで浸水。食卓はなぎ倒され、カバーで覆っていたはがきも泥水で汚れた。しまっていた他のはがきや8年前から描きためた自作、絵筆など道具類はさらにひどく、悪臭を放ちカビに覆われ始めたため、多くを手放すしかなかった。

 絵画修復士、表具師、画家らのチームが無償で「大切なもの」の応急処置をしていると知ったのは1カ月後。「幸」のはがきを手に作業場を訪ねた。

 「この1枚に交流の喜びや描く楽しさがあった“日常”が詰まっている。心を込めて整えたい」と、受け取った修復士の斎藤裕子さん(42)と今村友紀さん(37)=岡山市中区。大切なものの象徴として、活動報告展のちらしに採用。子どもの習字や絵、母子手帳、写真などこれまで修復した物と一緒に展示することにした。

 親戚宅で避難生活を続ける後藤さんは、9月、友人から様子を気遣う絵手紙を受け取ったが、簡単に近況を知らせただけで、あれから一度も筆を執っていない。「まだ気持ちが追い付かなくて、何を描いたらいいかも分からない。でも、いつか必ず返事を出します」。息を吹き返したはがきを、建て替える自宅に再び飾る日を心待ちにしている。

 活動報告展「一枚のはがき」は岡山市北区表町、岡南ギャラリー2階で16日まで(11日休廊)。
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